発行:1966年5月頃 若木書房 ひまわりブック309
松尾美保子先生同様、浦野千賀子作品にもダンナのペンが入っている、名胡桃ゆう(貞安達明)先生。あ、貞安達明は義弟のさだやす圭先生のことかな? 女を浦野先生が、男を貞安先生が描いておられる。女性の顔は牧美也子先生風ながら、すでに浦野先生らしさも伺える、が体の描写はまだぎこちない。男性の方はちばてつや先生風で顔・体ともこなれている。松尾美保子先生ほどの魅力がないからか、はっきり違うとわかってもこの共作には不満はない。
「三つのきょうだい物語」は、きょうだいテーマの三作品が収められている。 落丁したトビラ・目次に何か記載があったかも知れないが、他に掲載されたものか描きおろし作品かわからない、、描きおろしなら三短編じゃなく一長編にしてほしいものだが。
「あにいもうと」は、エッコの兄・英二が実の両親のもとへ。数年後、医者になった英二は苦しんで死んでいくエッコを看取る。
「にいさん」は、松岡アキ子の兄・忠が、姉をお嫁にいかせるため、小説家志望一本からパン屋をてつだう決心をするまで。屋号が松岡でなく「山田ベーカリー」なのは何故ダ?
「おねえさんとカギッ子」は、アッコがとなりの部屋の殺人を目撃。つかまってしまうが、逃げだそうとして犯人もろとも転落してアッコだけ助かる。姉はアッコをひとりぼっちにしておいていけなかったと反省するが、この作品はちょっときょうだいものとはいえないなぁ。
どれも短編なのでふくらみがないのは仕方がない。。なかでは「あにいもうと」、エッコが苦しみながらも感謝して死んでいくさまが、よくあるパターンと思いつつも心に残る。




