発行:昭和36年3月3日 東京漫画出版社 バンビブック

「天使の笛」の笛は、夜鳴きそば屋が吹くチャルメラのことだ。この作品のそばが、中華麺なのか日本蕎麦なのかが気にかかる。ホウレン草とカマボコを最後にいれるとあるので、日本蕎麦らしいが、中華そば屋に研究に行くシーンもあるしなあ。。

アコと兄・健治は夜鳴きそば屋で生活している。健治が屋台でそばをつくり、アコは笛を吹いて客をよびこむ。繁盛していて売りきれ、一晩で二千円かせげる日もあった。クリスマスの夜、アコはかえでというみなしごとであい、つれて帰る。健治はかえでの世話をすると約束。かえでがはじめて吹いた笛は不思議な美しい音色だった。

同業者のマル矢たちにねたまれた健治は、いためつけられて入院。アコとかえでを学校へやり
、船を買うためにためておいた金が盗まれる。マル矢はつかまったが、どろぼうではなかった。アコとかえでは、健治の入院費と生活費のために働くことに。

まずいそばしかつくれず窮地におちいるが、どじょうをだしに使ったそばが受け入れられ、やっていける見通しが。二人はよろこび、かえでが吹いた笛は、いつかの天使が吹くような美しい音色だった。で幕。

絵はもうひとつだけど、話はなかなかのもの。アコ・かえでの父母が生きていたというふうな展開はなく、そば屋中心に進む話なのがいい。ラストはちょっと感動的だが、十か月後には健治が退院できてまたすぐ繁盛するのでは、、いや、十か月もの重傷なのでそうもいってられないのか。。