なツマグ

最初のデータ行で一番多い「A5判130頁前後」は省略

本村三四子

本村三四子●ソーダラップお嬢さん






発行:昭和41年8月頃    さいとうプロ

本村先生、さいとうプロへ移っての第一作。どこから移ったかというと、若木書房からだろう。発行時期から推し量れる。

浅井純子はスカッとさわやかでピチピチしている女の子。だから "ソーダラップお嬢さん" というニックネームだ。が、ソーダラップなんて呼ばれてないぞ、、みんなジュンと呼んでるぞ。。

転校してきたジュンは数学の先生・九条高志に惹かれる。かぜをひいた高志の見舞いに行く。高志とその母は、ジュンの亡くなったママの写真を見て驚く。

高志とその母はジュンのパパに会い、ジュンは自分の娘・高志の妹だと明かす。15年前、体をこわした高志の母は、交通事故で夫と子をなくし落胆していたジュンのママに、赤ん坊(ジュン)をあずけたのだった。工事現場で仕事中、足を踏みはずしたジュンのパパは転落してケガをする。気が弱くなったパパはジュンを九条家にかえす決心をする。

林間学校の宿舎でジュンは本当の両親と対面し、事実を知らされる。が、パパが転勤で引っ越す前にと、急いで東京へ帰る。パパと会えたジュンは「死んだママとパパの子供よ」と訴え、パパは自分が悪かったとあやまる。二人が北海道へと立つ特急列車の見送りには、大家の息子・路雄だけでなく、本当のおかあさんもきていた。で、幕。

生みの親より育ての親というよくあるパターン。でも、冒頭でパパはジュンのことを自分の子ではなく、死んだママのつれ子だとつぶやいていた。だから、さらにママの子でもないとは思えなかった。

キレのいい線、さわやかな絵は満足できるのだけど "ソーダラップ" ならではの楽しいシーンがもっとほしかったナ。林間学校なんて、いきなり帰る直前の日から描かれるんですもの。。


本村三四子●バナナとサンゴ

バナナとサンゴ_01

バナナとサンゴ_02

バナナとサンゴ_03

バナナとサンゴ_04

バナナとサンゴ_05

発行:1965年9月頃 若木書房 風車9 No.45より

バスで出会った青年は、真沙美の家にきた新しい下宿人・瀬戸内健二だった。安いくさりかけのバナナをみやげに持ってきたことをママに内緒にするかわりに、健二に一ヶ月間毎日宿題をやらせることに成功。

何かと反発する真沙美と健二。が、誕生日に健二から母のかたみのサンゴの指輪をおくられて、二人はいい雰囲気に。で幕。

サンゴの方はラストにとってつけたような感じだが、きれいで爽やかな絵に満足、、もうちょいクセがあったほうがいいかなと思ったりするケド。





本村三四子●あすはしあわせ






発行:1965年9月頃 若木書房 ひまわりブック274

第一部のトビラ「あすは晴れ 第一部 こまった家出娘」とあるが、ここだけなので「あすは晴れ」はミスだろう。第二部は「あすはしあわせ 第二部」となっておりタイトルは正しいがサブタイトルがない、やれやれ。。それでも二部制をとっているのは、1冊で2倍楽しめるという謳い文句による、、あまり意味のあることだとは思えないけど当時の読者はお得感を感じたのかなぁ。。

真樹は東京へ行き、兄・勇治のアパートに住みつく。父の再婚に反対しての家出だった。学校は桜ヶ丘中学校で、勇治が担任しているクラスにはいる。真樹は西村沙知子先生と勇治が結婚すればいいと思ったが、勇治は関心がなかった。隣の部屋に引っ越してきたおば様一家とは、真樹も勇治もすぐに仲良くできた。が、勇治とつきあっている谷川あけみは好きになれなかった。

あけみが勇治の財産目当てに結婚しようとしていることを偶然聞いてしまった真樹。勇治に一芝居うたせる。あけみと結婚するなら父に勘当されるが、それでも結婚しようと。あけみはすぐに去っていって、財産目当てだったことが証明された。勇治は西村沙知子先生とだんだん仲良くなっていく。

チチキトクの電報に、勇治は西村先生をさそい真樹と三人で夜汽車に乗る。父は無事で、新しいママを紹介するために一芝居うったのだった。新しいママは、何ととなりのおば様! で、めでたしめでたし。

あけみが財産目当てってのは、もうひとひねりほしかったな。

新しいママはとなりのおば様にちがいないと思っていたが、いくらなんでもうまくいきすぎる。まあ、おたがいに理解しあえるようにと父がしむけたものだったってことか。




本村三四子●夢見る少女ナナ






発行:1965年7月頃 東京日の丸文庫 日の丸少女シリーズ

本村先生のかなり初期作品と思われるが、もう非常にしっかりしたきれいな絵。ストーリーもそれに合った爽やかな展開だ。

孤児院にいたナナは、謎のあしながおじさんのおかげで緑ケ丘学園の寄宿舎に入る(上流階級のおじょうさんやおぼっちゃんの高校だが、ナナが一番ゴージャスに見える、、名前まで "上条ナナ" と上流そうだし…)。演劇部のOB牧村先輩は、いつかナナを送ってくれたあこがれの王子様だった。

勉強・演劇に身を入れるナナ。文化祭で "戦争と平和" のヒロインを見事に演じ終えたあと、パパとよんでいたあしながおじさんに会えることに。パパの正体は牧村先輩だった。ナナのママを車ではねたのは牧村の父だった。その父の遺言により牧村はナナをひきとったのだった。で、めでたしめでたし。

1950年代のB6判貸本なら、孤児院出などとわかったら意地悪されてあちこち渡り歩かねばならないし、先輩との恋も描かれないネ。絵のよさもあるけど、こっちの方がリアルさを感じ、、いやいや現実はこんなにうまくはいかねーけどヨ。。




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