なツマグ

最初のデータ行で一番多い「A5判130頁前後」は省略

角田まき子

角田まき子●旅のおわりに






発行:1967年12月頃 若木書房 ひまわりブック397

角田先生の主人公はちょっと野暮ったい印象だったが、この作品は違った。水沢マリちゃんはカッコイイ! すごくボーイッシュ(スカート姿もちょっとだけあるヨ)で、最初から最後まで絵柄が変わることもなく、カッコイイ〜♪

おじいちゃんに育てられたマリ、草刈をする男の子を、草がいたがるからとおこるような少女だ。マリは、精神病院からにげだした神原英樹をかくまう。工事現場の地下道から、塀に囲まれた空地へと、バレないように連れて行き、食事の世話もする。

英樹はむかえにきた担当医を、石で殴って殺してしまう。工事現場へと逃げる英樹。そこへ駆けつけるマリ。だが、目の前で英樹は逮捕される。マリにむかって「ガーッ」と吠える英樹。「でも わかるんだ……」と、 マリはつぶやく。で幕。

ラストのマリちゃんのセリフが心に残るナ……

大声の表現である、サイズの大きいゴシック体での「イヤダ」や「チガウ」。そのカタカナに最初違和感を感じたが、いやいやこれも味があるネ。





角田マキ子●幸福の日のために

幸福の日のために_01

幸福の日のために_02

幸福の日のために_03

幸福の日のために_04

幸福の日のために_05

発行:1968年8月頃 若木書房 ひまわりブック421 B6判 157頁

1970年まで続いたひまわりブックのかなり後期。前城由紀はデザイナーのたまごで、主人公としては高年齢なハイティーン。小中学生は雑誌に移行していて、貸本マンガの読者がハイティーン化していたからだろう。ストーリーもそれに合わせ考えさせられるものだったり、ひと工夫あったりする。

由紀がたすけた不良少年は、取引先の田崎紡績社長の息子・澄人だった。もうかかわりになりたくないと思ったが、秘書張本の悪だくみを聞いてしまい、澄人につげる。関心なさそうな澄人。由紀はデザイン盗作の犯人にしたてあげられる。澄人の活躍で濡れ衣ははらされ、めでたしめでたし。

これは、感情が同化する未来の映画だったというオチがついている。そういえば最初にでてくる映画館、入場時コイン投入して3Dゴーグルらしきが出てくる装置はハイテクだったし、2800年らしき文字がスクリーンにあった。それなら157頁もあるので、最後の未来シーンにもう少しページをさいてほしかったな。

由紀がすらっとした八頭身美人で可愛げがなく、あまり感情を同化できないのが残念なとこ。。

角田まき子●あの丘の上まで






発行:1967年頃 若木書房 ひまわりブック355

角田というとつのだじろう先生の本名だから、当然「つのだ」だと思っていたが、ひと休みコーナーにはルビ振りで「かくた」とある。。まあしかしこの程度はたいしたことじゃない。表紙・背表紙・扉・奥付で作者名が全部一致するほうが、珍しいんジャマイカと思ったりするからナ。。

新児童少女漫画界の会員募集をされているので、角田先生も杉本啓子先生や高階良子先生と同じ会員だったのだろう(主催は確か草野ひかる先生)。杉本先生に比べると、やや平面的でぎこちない絵、しかしちばてつや先生を泥くさくしたような個性があり、小学生らしい描写がはまっている。ストーリーは秀逸! 冒険心をくすぐられる楽しさがあると思えば、社会的な重いテーマもひそんでいる。

しがらき学園でくらすサナエは自分にはとうちゃんがいると、みんなをみなし子よばわりする問題児。先生は本当はおとうさんは死んだのだと説得するが。おとなたちに不満をもつ仲間とユウカイ事件をくわだてようとする。そこへあやしい男に声をかけられ逃げ出す。隠れるために飛び乗ったトラックが動きだしてしまう。で、第1部おわり。

四人はトラックから飛び降りるが、男につかまる。その男、荒井は地方出の労務者をひっかけて盗みをさせていた。サナエに父の居所を問いつめているところへ、生きていた父があらわれる。みんなで逃げ出すがサナエをかばって父はトラックにはねられ死んでしまう。工事現場の鉄筋にのぼる四人。追ってきた荒井は逮捕される。三人は親の説得でおりてしまう。

一人残されたサナエは、飛びおりて死ぬのが切なくもインパクトある幕切れと思ったのだが。父親のことを信じなかったことを
学園の先生があやまってきたので、サナエは許しおりていく。サナエが死ななかったからこそ先生があやまるシーンが生まれ、「(俺の)とうちゃんは何もあやまらなかったぞ」という仲間・三四郎の一言も生まれるわけだ。

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