発行:1963年8月頃 東京漫画出版社 バンビブック
とにかく登場人物がよく走る。走らない時も何かと動きのあるポーズがとられる。まあ、動きがないよりいいか。それよりも気になったのは前半と後半で話の軸がまるで違うことだ。
津川久美子はまいごのヨーちゃんを自宅であずかることに。それを手助けした兄・星夫が一時かえってきたが、また家出する。星夫と不良仲間は、ヨーちゃんの母になろうとする女から養育料をせしめようとする。久美子と婦人記者が先回りしていたが、ヨーちゃんをおんぶしたおれいにと金はもらえた。養護施設にあずけられたヨーちゃんをこの女が母としてひきとる感じだが、それは描かれず前半終了。
後半は、嵐の中ヨットででかけた星夫と仲間が遭難。久美子の父が船長に船をだしてくれとのやりとりが中心。たぶん映画かドラマに影響され、平井先生は是非このシーンを盛りこみたくなったのだろう。同じ大港海運につとめ船長をしていた、津川と武林。社長の娘ときわは武林を選んで結婚する。が、武林が遭難して津川と再婚、星夫の父親は武林だった。武林が生きているらしいとわかって津川とときわはりこんしたのだった。
という、いきさつがわかるとはいえ、要は嵐の中船を出すのか出さないのかのせめぎ合いが描きたかったのだ。あとわずかのページで星夫救出のシーンが描けるのかと思っていたら、翌朝ヘリコプターから救出されたとの連絡がはいって、めでたしめでたし。なんと、後半には星夫自身はは登場せず終わっている。。
意外な展開がありおもしろい 、といえなくはないけど。。