なツマグ

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杉本啓子

杉本啓子●雪に愛の歌を

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発行:1966年3月頃 若木書房 ひまわりブック297

母に死なれた美保は遠いしんせきの高村家へ。おばさんは親切だが娘のさと子は意地悪な雰囲気。。タイトルからしてこのさと子が改心する話ではと推測。体育で負け、学力テストでも負けたさと子はいよいよ意地悪発揮(そこで意地悪を発揮しちゃみっともないとわからんのか…)。指輪泥棒にしたてたり、さと子にしかなつかない犬のロンの散歩をさせたり。

足の悪いさと子の妹・淳子は姉にこれ以上美保をいじめると家出すると抗議するが、家出してその足でくらしていけるかと罵倒される。自殺をはかった淳子は入院。家庭教師だった修一郎にさとされ、やっとさと子はみまいに行く。そこで改心して、淳子・美保とうちとけてめでたしめでたし。

じっくりじっくりさと子の意地悪が描かれていくにつれ、もうこのさと子が改心するラストへ一直線だなと思えてきて、イマイチもの足りなかった。後半の美保は大人っぽい面長の顔になり魅力が薄れたし、、淳子にもうちょっと可愛さがあれば面白かったのに。。








杉本啓子●あまりにもオバケさん

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発行:昭和45年8月10日 若木書房 ティーンコミックス57 週刊少女フレンド掲載 B6判 90頁 

「あまりにもオバケさん」とその続編「オバケ法ニュー門」をとりあげる。どうもこの時代の外国舞台に感情移入できない。巻末の中編「ハリケーンむすめ」の森本みちるの方が好きな杉本キャラだが、これも舞台は日本でなくアメリカになっちまうし…

舞台はロンドン。リュリュはオバケとしてはきりょうが悪くひどい顔、でも人間からみるとかわいい。ねむる場所にしていたつぼを人間にもっていかれ、さがすのにポロロ探偵事務所を訪れる。つぼは割れてしまったがポロロの甥のモーリスとなかよくなり婚約できた。

続編ではオバケ界のおさななじみ・フワフワがオバケ法でリュリュを再教育して自分と結婚させようとする。オバケ法では “人間と結婚するなかれ” だがリュリュはしたがわない。オバケたちは無理矢理フワフワとリュリュを結婚させようとする。が、リュリュに心を動かされたフワフワはリュリュをモーリスと結婚させる。オバケ法では “結婚したものは一生離婚してはならない” ので、もうオバケたちは手をだせずめでたしめでたし。

ストーリーはおもしろいけど、絵がすこーしレディースコミックの方向へむきかけてるかなぁ。




杉本啓子●貝がらのうた

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発行:1966年8月頃 若木書房 ひまわりブック323

海辺の別荘へきた信二は悪性の眼病でもうすぐ光を失う。海辺で知り合った奈穂は誰にでも悩みはあると説く。奈穂の父は殺人罪で死刑になったのだった。そのことがばれて、奈穂は岸壁で悩んでいるうち足をすべらせて転落。

奈穂の父のことを知って信二はたちなおる。奈穂は助かったが顔に大きなきずができていた。慕っていた信二の母は奈穂に辛くあたる。夜の海の中へ進んでいく奈穂を妹のさちよと信二がひきとめる。奈穂はたちなおり、信二親子が
東京へ帰る駅に約束した貝がらをもっていく。信二の母も改心してめでたしめでたし。

来年もこの海辺で会おうとのことだが、来年は信二の目はみえなくなっているはず。奈穂姉妹は死刑囚の子だとより広まっているだろうし、祖母との貧しい三人暮らしがうまく長続きするかわからないし。。

眼病・死刑囚の子・顔のきずと定番不幸のトリプルパンチで深刻な話だ。もうちょいコミカルな要素がほしかったナ。妹・さちよの視点からの話にするとかして。





杉本啓子●すみれを胸に






発行:1966年4月頃 若木書房 ひまわりブック303

明るく脳天気な、ユッコこと岡崎由紀子が主人公。本人も恋に悩んだりはするが、より深刻な悩みをもっている友人・森ちはるの狂言回し的な役どころ。このパターンが杉本先生流かな。かざり気のない普通なユッコが爽やかにがんばるのが非常にいい!

ユッコたちは転校してきたちはるさんの家にあそびにいくが、教育ママがいて感じが悪かった。翌日ちはるは、ごめんなさいと涙を流すが、ユッコはもっとほかにわけがあるのではと思った。

ひとりっ子といっていたちはるが姉と会っているのを、ユッコは目撃する。姉は母とけんかして家をでたのだった。ちはるの母が本をとどけたユッコをせめるのをみて、ちはるは自分も姉とおなじ道をとるとつげる。母は改心して、ちはるは明るくなる。だが、父の仕事のつごうでちはるは北海道へ転校。ユッコが好きだったとなりの慎二は何とちはるの姉と結婚。ショックの連続だったが、一ヵ月後には立ちなおりめでたしめでたし。



杉本啓子●その白い扉を

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発行:1967年1月頃 若木書房 ひまわりブック350

先に読んだミサの強烈なキャラにくらべると、こちらは凡庸に感じてしまったが、いや読み進むと杉本キャラはクセはないのに味がある。

山中で霧にまよった和歌子と、その声をきいて助けにきた松村。二人は雨の中をさまよい、洋館にたどり着く。その住人エリーゼは、やむをえず二人を泊めることに。

和歌子はあけるなといわれた白い扉の部屋に入ってしまう。そこへやってきたエリーゼの兄ロベルトは、和歌子の首を絞める。エリーゼが和歌子を救う。大けがを負ったロベルトは湖に身を投げる。

ロベルトは父母の事故死のショックで気がふれて、いったんなおったのだが、白い扉の部屋にある父母の肖像画をみて再発し、一緒にいた友だちが父母を殺したと思い込み、その友だちを殺したのだ。エリーゼは、友だちの死体をふたりで湖になげこんだと告白。和歌子にこの家でおこったできごとをすべて忘れるようさいみんじゅつをかける。エリーゼのことをおぼえていたいと訴える松村には、自分が見えなくなるまでうごけなくするさいみんじゅつを。そして、エリーゼも湖に身を投げる。

松村はエリーゼの絵を個展にだす。それを見た和歌子は知っているような気がしたが、それ以上は松村のことも思い出せないのだった。

前半、霧にまよって洋館へたどり着くまでがよかった。館ではエリーゼ・松村・ロベルトがメインすぎるかな。まあ、
狂言回し的な和歌子の役どころがいいので贅沢はいえないか。



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