発行:1966年2月頃 若木書房 ようこシリーズNo.20 春の精 洋子の物語
ようこシリーズってのは、若木書房のひまわりブックと同じA5判体裁での矢代まさこ先生のシリーズ。何故「まさこ」シリーズではなくて「ようこ」シリーズなのだろう? 娘あるいは友人の名前からかな。
公園でピーナッツ売りをする洋子は拳一と出会う。自分のことを春の精、拳一は冬将軍の孫・北風小僧だと告げる。
洋子は体が弱くて学校へも行っていない少女で、拳一は少年院を脱走してきた少年だった。無理をして公園へ行っていた洋子は倒れる。拳一は洋子の姉から、洋子は姉と母の会話から、それぞれの現実を知る。
熱をおして洋子は公園へいき、拳一と出会える。拳一は追ってきていた補導委員にたのんで洋子を病院へと。二人は一年後、公園での再会を約束してわかれる。その時の合言葉は「ピーナッツを一粒!」。で幕。
一年後に少年院を出所した拳一と、入院して体が回復した洋子が、再会できる可能性はかなり低い。が、洋子が死んでいく話とせず、絶妙なところで終わらせておられるのはさすが。絵も冴えていて、体が弱いながらも明るく空想好きな洋子が生き生きと描かれている。
あとがきにて「体の弱い少女を主人公にして」という読者の要望にこたえた作品で、ストーリィが平凡だったかもと述べられている。軸はありがちな話だが、春の精・冬将軍の味付けと構成力で、平凡とは全然感じられないネ!




