矢代まさこ

矢代まさこ●古びし聖堂の愛のマリアに







発行:1963年7月頃 東京 金園社 虹 No.43 より

p72〜139、この本の後半を占める中篇。さらに最後に頁があまったということで、矢代先生のフリーコーナーまで載っている。

亜沙美は転入してきた美也から古い教会のことをたずねられるが、だれにも入っていかれたくないので教えなかった。期末考査の結果、成績も絵もトップの座を美也に奪われた亜沙美は学校に行かなくなる。登校をすすめにきた美也はその帰り、事故にあい顔と右腕に傷を負う。亜沙美は美也のことを考えながら、いつのまにか教会へ。そこには美也がいて、亜沙美のことを祈っていた。

激しい嵐の描写でやたら盛り上げてくれるなあ、と思っていたら落雷とともに、まさかのマリア様降臨! かと思えるすごいコマがあり、二人はうちとけてめでたしめでたし。

貸本屋から借りて読んだらしい過去の読者も感動したらしくて、p136に感想を書きこんでいらっしゃるが、いやいや「落書きすんじゃねえよ!」と思うばかりである。



矢代まさこ●光の中の子供たち






発行:1963年 東京金園社 虹文庫No.38

矢代まさこ先生というとチャンピオン読者だった私には「ムツゴロウの箱船」だ。ほのぼのとした作品で嫌いではなかったが、他が強烈だったので印象は薄い。「がきデカ」や「ブラック・ジャック」はまだだったが、「ドカベン」「バビル2世」「魔太郎がくる!!」があったからなあ。

この作品は矢代先生の初長編ということだ。短編を含めるとデビューから14作 。にしては、絵も物語も完成度が高い。

親なし子たち8人がボロ家で力をよせあって暮らしていた。 信二・あさっぺ・みゆきの3人が乗った自転車がクルマにはねられる。 はねたクルマの中にいたのは女さぎ師のめぎつね。めぎつねはあさっぺの母親だったのだ。よくある母娘のめぐりあい が描かれるかと思ったがそうではなかった。めぎつねは逮捕される(大人側の事情が描かれないのがいい)。

川でおぼれたチンピラスリのサリィを助けるために飛び込んだあや姉さんが死んでしまう。信二はチビたちを孤児院へ入れようと言いだした。結局、あや姉さんのことを考え、サリィも加わりまたみんなで助け合っていくことに。で幕。



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