発行:宏文堂 定価170円 少女スリラー
この作品では、関谷ひさし先生とちばてつや先生を合わせてスッキリさせたような絵柄。スッキリ感は原稿を縮小せず原寸印刷しているところにもよると思うが。あまり可愛くない子どもと、ちょっと冷たい心をもった主人公の少女なのだけど、絵は魅力的だ。
衝突事故をおこした江原は生き残った子どものまゆみをひきとる。妹のさくらは子ども好きではなく、施設にやろうと言ったり遊園地に連れていって迷子にしておいていこうとしたりする。まゆみの身よりがあらわれた日、さくらは落ちてきた窓ガラスが頭にあたるがケガはなかった。その直後、まゆみがうっかり発車させた自動車にひかれるがまたもケガなし。まゆみは柱にぶつかったが、命をとりとめおばの家にひきとられた。まゆみは自分の身がわりになったのだと思い、さくらは子供をかわいがるやさしい少女になった、で幕。
少女スリラーとはいってもそれほど怪奇なことはなく、偶然に起きることが『母のみたまか』ととれる程度。これは、貸本時代後期の怪奇ものとは違う、先行していた宏文堂少女スリラーの味かもしれない。