牧村和美

牧村和美●おてんばとお嫁さん

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発行:1964年4月頃 東京漫画出版社 おてんばシリーズ

ナコちゃんそっくりの主人公、でもこの作品ではジュンという名だ。

南先生と、ジュンのところに下宿している美子の仲をとりもとうとする。が、余計なことをしなくても二人は結婚するようだった。これに前科者の美子の兄がからまる話。

次作「おてんばと赤ちゃん」で、南先生の父であるガンコおまわりさんに、前科者の妹との結婚を納得させることに。つまりこの作品も続き物なんだなあ。。


牧村和美●秘密の中の少女






発行:1963年8月19日    東京漫画出版社    バンビブック

ミチコと父はタクシーで衝突事故にあう。ミチコは軽傷だが、父は警察病院にうつされると。ラジオで父が麻薬密売人だと知る。

実は父はいい人だったという展開になると思ったが、そんなことはなかった。護送中にぬけだした父は刑事に追われ、崖から転落して病院にはこばれるが、ミチコらにみとられ死んでいく。実は本当のパパではなかったというくだりはいらないと思う。

おしの少女ミカをもう少し描いてほしかったナ。麻薬取引きをあつかった話なので、大人の方の描写が多い。ミカの父親はミチコの父から麻薬を買って金をつくり、ミカの口と耳を治したかった。ミチコと母は九州のいなかへ。財産は貧しい人達のために寄付され、その金でミカは手術できることになると、まとめられている。




牧村和美●少女と風船





発行:1963年8月頃 若木書房 ひまわりブック184

風船好きの少年・たかしはおじいちゃんに死なれ、みなし子になったばかり。リエは兄の命令で仕方なく、たかしを警察に。兄・ひろしは家を売り東京に出て食堂を始めることをリエに告げる。リエはおじの家に行くことになった。

おじの家に警察がきた。東京で宝石泥棒をして逃亡中のひろしについての聞き込みだった。いとこのミミが、ひろしからあずかった金をリエに渡す。おじとリエはひろしを探しに出る。おじはひろしを連れて帰ったが、リエは風船を追うたかしを追いかけて、トラックにぶつかってしまう。兄たちは病院にかけつけたが、すでにリエは死んでいた、で幕。

最後、あっけなくリエちゃんが死んでしまうなあ。。ページ数のわりに進行が遅く、ボリュームが少ないと感じるのが常の牧村作品。しかし内容が薄いとは感じない。この作品は特にそう。



牧村和美/高峰千秋●二つのねがい

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発行:ホープ書房 定価170円

表紙に「青春ドラマ」とあるが、貸本時代後期の青春ものとは違う。定価170円だと1962〜63年頃で、ちょっと男女仲がからむ程度。牧村・高峰両先生の合作となっている。p10までのプロローグを牧村先生が描いて、その次のいわゆる第一部を高峰先生が描き、第二部で牧村先生がまとめている。絵柄から高峰先生は江藤ふみお先生に違いないと思う。

その村では嵐の前の日にケガをした者が海に出ると、片わになるというめいしんがあった。頭にケガをしたアキラが海に出て行方不明に。村に来ていた由美の兄が嵐の海に一人で探しにいったが、見つけられずケガをして戻ってきた。ここまでがプロローグ。

第一部。別の漁村へ流れ着いたアキラはエミという娘に救われたが記憶喪失になっていた。そこからはエミ中心に描かれる。祖父から死んだと告げられていた母は生きていて会いにくる。エミには母の友達だといって去っていく。男と出て行った母を祖父は許していて、エミに真実を話す。まだ近くにいるかもしれないと、エミとアキラが母を探しに走り出すシーンで
第一部終了。

第二部。時間が少し戻る。由美の兄の目がみえなくなるかもしれないと診断された。東京の医者にみてもらったらなおるかもしれないということで、兄妹は東京にかえることに。港へ向う途中でアキラを発見する。アキラはエミの母親に追いついたところだった。エミと母はめでたく再会。アキラは由美たちのことがわからない。そこへ由美兄妹を送りに来たアキラの父親が。アキラは父と会って記憶を戻しめでたしめでたし。

思ったよりよくまとまった合作だ。雑誌形式貸本短編集もこのようにリレー合作にできないものか。いやこの2人リレーでも、牧村先生はまとめるのに相当苦労されたようだから、無理ってもんかな。




牧村和美●江梨子

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発行:ホープ書房 定価170円 橋幸夫のヒットメロディー 歌謡長編少女漫画

都ガス集金人の父は集金の途中、刺されて金をとられる。父を殺された江梨子は母もいないもよう。千葉のおばの家へ行くが、「売家」となっていた。借金のカタに東京の江梨子の家までも売り、九州へひっこしたらしい。九州といってもわからない江梨子は途方にくれ、海に消える。

“歌謡長編少女漫画” と銘打たれているよう橋幸夫さんの歌から作られた話のようだ。おばの家でいじめられて死んでいく話かと思ったが、それすらもなく悲しく死んでしまう。。牧かずま先生の江梨子の方がいとこの辰也と会う希望があり、映画原作ものらしく起伏のある話になっていると思う。

が、こちらの方が見ごたえがある。牧村作品は、現代っ子シリーズ・おてんばシリーズの方がこなれており、絵も話もうまいし個性のあるキャラも登場するのだが、どうも大ざっぱに感じてしまう。それよりも古い時代と思われるこの作品は、大ざっぱさは感じなくて、1コマごとにしみじみと感情移入できる。江梨子が死ぬとわかっているからかもしれない。

もう1作の「小さい島の物語」も歌をもとにした話なのかな? こちらの方が頁が多いけど、ちょっと鈴原研一郎先生風なコマもあり、牧村先生らしくない絵柄が残念。。



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