福島史朗

福島史朗●おらあ五郎太

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発行:1966年9月頃 若木書房 福島史朗長篇シリーズ

福島先生の登場人物はどこか屈折しているのが特徴だ。この作品では主人公の五郎太より、新担任の東正一にそれを感じる。

おじの家に世話になる正一。教師よりも、海外勤務できる会社に勤めたかった。おじからレジャーホテル経営に参加してくれと言われる。乱暴者の五郎太の担任になった正一。ガキ大将に折られた鉛筆をプレゼントするが、五郎太は学校にこなくなる。正一はおじのホテル経営への参加を決心。唯一の理解者、源じいから勉強を教えてもらった五郎太は、できるようになり笑い者にされなくなった。

ホテル建設のため立ち退きをせまられる源じい。五郎太は業者とやりあって崖から落ちて死ぬ。源じいから五郎太はあんたが好きだったと言われる正一。自分が何をしてやったかと考える正一。一生を学校の先生で通すと決心。五郎太に何かしてあげたかった。それから……
ラスト全面一コマでもう一度「それから……」という一言が添えられているのが印象的。





福島史朗●太陽行進曲 太陽っ子サブ その1

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発行:1967年6月頃 若木書房 福島史朗長篇シリーズ13 太陽行進曲第四話

シリーズ名が色々ついて複雑、、福島史朗長篇シリーズ13は太陽行進曲のシリーズの四話目で「太陽っ子サブ」という物語の1巻目となる。千葉鉄太郎というおまわりさんと、彼が想いをよせるのがユキ、というのが太陽行進曲の共通事項かな。

双子のサブとタッちんのとうちゃんは、電車で給料をなくしたので、家を追い出される。サブはとうちゃんをひみつのかくれ家に案内する。そこには金庫荒らし達がいて、大男のとうちゃんは悪事の交渉に利用される。それが警察にばれてとうちゃんはつかまる。犯人一味でユキの兄にサブがたのんで、とうちゃんは釈放。かくれ家にかあちゃんがきて、とうちゃんはなんとか家へ帰れそうだ、で幕。

特に続くということではなく、一応完結している。でも、この話は双子一家の紹介的作品となって、2巻へつながるのだろうな。



福島史朗●おにいちゃんと私

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発行:1965年9月頃 若木書房 きょうだいシリーズ

父の親せきに不幸があり、両親はいなかに遠出。洋子は、兄の五郎と迷い犬の飼い主をさがしはじめる。

さほど大事件の起きない、しみじみとした生活ものが好きだ。が、なにしろ福島先生なので、簡単に犬など殺しかねないから、ヒヤヒヤもんだ。。実際、主人公の洋子にしてからが、乱暴に犬をけとばすシーンがあるし。。

洋子の友人、鉄平がドブと名付けた黒い犬を探していたが、結局ちがう犬のことだった。洋子家で飼おうとしたが、父が犬ぎらいだと五郎が思い出した。五郎の友人、野中が飼い主に決まり、もらわれていったが、うるさくしたり、赤ちゃんの手をかんでしまったり、でダメ。結局、鉄平とケンカしている時に出会った老人が飼っていた子犬ロンだったので、無事飼い主のもとへ戻り、鉄平のドブもみつかる。(偶然にも、野中がつけた名前も「ロン」。。)

後半の解決へむかうシーンがずっと雨で、雰囲気が盛り上がっていい。老人とロン、鉄平とドブは自動車で去っていった。で、最終ページ、雨の中またやってきたロンが、洋子家の戸をガリガリする。そして、最後の1コマで、雨はあがる。



福島史朗●シロ

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発行:1965年5月頃 若木書房 風車5月号(No.41)より

五郎が借りてきた自転車を妹の洋子が壊してしまう。子犬のシロを飼主にかえしにいったらお礼をくれた。自転車を買うために、五郎はシロをこっそり連れ出しまたかえしに行くことでお礼をもらう。洋子にさとされて、改心して幕。

福島先生らしく、ちょっと陰湿な悪どいことをする兄。でもその性格の効果か、短編ゆえのもの足りなさは感じない。



福島史朗●太陽っ子

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発行:1967年6月頃 若木書房 福島史朗長篇シリーズ11 太陽行進曲 第三話

母子家庭の、5人兄妹の母がたおれる。兄妹ちりぢりになりそうだったが、親切なおばあちゃんが面倒をみてくれることになり、生活保護も受けてなんとか親子いっしょにやっていける、という話。

冒頭はおまわりさんが、ふたごの兄弟に立ちションしようとするのを目撃されるところから始まる。このおまわりさんの名前が「千葉鉄太郎」。長男あつしの担任の名前が「ユキ子」。おまわりさんと担任先生は、2人ともあつし一家を心配して力になってくれる。鉄太郎がユキ子に軽くふられるシーンで、話は終わるけど。。

福島先生は、ちばてつや先生のアシスタントをされてたのでは、なんてことは絵柄を見れば一目瞭然なんだけど。それでも、こういうキャラを登場させてくれると面白いってもんだ。



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