なツマグ

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西たけろう

西たけろう●助けて!! だれか…

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発行:1967年12月頃 東京トップ社 少女ミステリー

たったひとりの父を亡くした野村まゆみは、見知らぬ叔母・ルリにひきとられる。叔母が30万円で買った家に住むようになったまゆみ。隣の北村というおばあさんから、殺人事件のあった家だと知らされる。

まゆみは、殺された未亡人のお金を偶然発見。殺人犯はルリ叔母さんだと確信。そこへおまわりさんがきてほっとする。が、おまわりさんから香水のにおいが。おまわりさんは北村の変装で、殺人犯は北村だった。首をしめられ殺されそうなところをルリ叔母さんが救って、めでたしめでたし。

まゆみ以外の登場人物すべてが、不気味で怪しい人ばかり(まゆみだってちょっと不気味だし…)。だが、話が進むにつれ、ルリ叔母さんが犯人に違いないと思えてくる。西先生らしくないな、もうひと工夫ほしかったな、と思ったら、ラストにてどんでん返し。う〜ん、さすが西先生!!






西たけろう●燃えおちる雲









発行:文華書房 定価220円 世にも不思議な物語第11集

恋人・一郎を一か月前に亡くしたリカは原っぱで謎のセールスマン(女)と出あう。彼女は本のセールスマンでサービスとして、雲を一郎に変えてみせてくれた。50円のその本は表紙が真っ白、中身は精神病院の電話帳からの切り抜きがいくつも貼ってあるだけ。

翌週リカは50円を払い、新しい客を紹介することを条件にまた雲の一郎にあえる。しかも今回は一郎の声まで聞けた。その翌週の日曜日、リカは約束どおり友人のみどりとさゆりを連れて行った。すると雲の一郎は燃え落ちていく。あわてるリカ。今までテレパシーで話していたセールスマンははじめて口を開いて話した「このおじょうさんは精神異常じゃないんですか」と。

リカは精神病院に入れられた。そこの院長は正常者の実験材料を求めていて、セールスマンの正体はそのために働く催眠術師だったのだ。で幕。

「燃え落ちる雲」はp105で終わり、そのあと第二章として「衝突する雲」という短編がのっている。マンガ家を目指す三人の少女が丘の上で考えを述べあう。デッサンを重要視する野野村ミチ子は、すべてのものに基本があり世界は科学的な法則で成立していると。早田アキ子は、でもあの雲はさっきから風にさからい反対側に行こうとしている
と、空を指差す。雲は広がり別の雲と衝突し、大雨になり三人はあわてて去っていった。で幕。

別の話となっているが雲つながりで、一郎の雲の存在感が高まってくるように思える。

いつもストーリーはいいけど、デッサンがちょっとな西先生。そのデッサンをとりあげておられるのが面白い。でもこの作品では、デッサンもかなりしっかりしてきているぞ。それよりすごいのは、ページの大部分を占める原っぱでのリカとセールスマン(女)の対話シーン。角度を変えたり、アップにしたり、シルエットを用いたりと飽きさせない。大ゴマ多用ながら、迫力こそ感じられ大ざっぱさは感じられないし。




西たけろう●鬼首屋敷

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発行:東京トップ社 定価220円 少女ミステリー10

少女ミステリーも10冊目、すっかり恐怖ものとなっている。最初の頃のようなSF解釈がほしかったな。でもなかなか迫力ある絵で、ちょっとゾッとさせられはするし、大ゴマ多用ながら大ざっぱさは感じない。

迷宮入りした上島未亡人失踪事件から一年後、娘のみどりに母・上島リエから電話がかかる。リエは事件のあったK岬の別荘にいるというので、みどりは出かける。そこには事件の日、別荘にいた四人のいとこたちも来ていた。

停電がおこり、線の切れている電話が鳴り、宏の顔半分がくいちぎられたようになってしまう。未知子はこの中のだれかが昨年リエおばさんを殺したという。嵐が去って別荘を出ようとするが車がなくなっていた。よろいの中から宏の首が出てくる。歩いてでも別荘を出ていこうとしたが橋が落ちていてひきかえす。殺したのはリエの幽霊だと皆はいうが、みどりは幽霊が母・リエだとは思えなかった。

またしても電話が鳴る。未知子はカーテンに包まれ殺される。みどりは未知子が撮ったという証拠写真を発見。そこにはリエを殺した四人が写っていた。犯人は四人全員だったのだ。残った二人にみどりはつかまる。また電話が鳴って、照明器具が落下して北川アキ子は死ぬ。最後の一人・左一角は地下室でみどりを殺そうとするが、電話のコードが首に巻きついて死んでしまう。

死んだ母・リエが娘を助け、自分のふくしゅうもはたしたのだと、みどりは確信するのだった。で幕。

未知子は共犯者には思えないんだが、、描きながらストーリーができていった感じだな〜。。


西たけろう●吸血蛾人

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発行:昭和53年1月10日 立風書房 レモンコミックス〈恐怖シリーズ〉 新書版 255頁

鏡子の兄、健太郎は、人間を原子に分解して電波にのせ、瞬間的に遠くへ運ぶ研究をしていた。分解器にまぎれこんだ猫と蛾は、健太郎の体とまざってしまい、研究は失敗。健太郎は自殺。もう一体、頭部が人間の胎児に似ている蛾が再生されていた。健太郎の妻、夕子はその赤ン坊を育てる。

赤ン坊は、鏡子のクラスメート、伸子を殺してしまう。夕子は病院に収容されるが、赤ン坊の世話を人にたのんでいた。成長した赤ン坊は、自分が健太郎と蛾のまざった存在だと知る。完全な人間の姿になろうと、鏡子たちを実験に使おうとするが、蛾の大群に襲われ死んでいく。

SF得意な西先生らしく、設定はそうなのだが、もう内容は完全な恐怖ものになっている。ページ数が多いのでキャラもよく描かれており、蛾人の赤ン坊がなかなか魅力的! この子は、先生もお気に入りとのことだ。でも主人公ら女の子が可愛くない、、話にマッチした画風とは思えるので、仕方ないか。。



西たけろう●少女狂死曲

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発行:東京漫画出版社 定価220円 スリラー劇場

西たけろう先生については何も知らなかったのだが、巻末にいくつか資料がある。西武三郎(改め西たけろう)なのだそうだ。でも、西武三郎先生も知らないな。。「S.Fの西たけろう、東漫の西たけろう」とある。なるほど、SFがそもそも得意な方なのだ。「東漫」は、東京漫画出版社のことで、まあこれは。。「安土城跡にてー」と、写真がのっている。妹さんや教授と一緒に、、何の集まりなのだろう?不鮮明なモノクロ写真だが、ご本人は柔和そうな好青年といった印象。

少女以外は弾けないという伝説の火の島の楽譜を天才少女音楽家たちが演奏するという話。例によって、いかにもな恐怖もののようにじっくり話はすすんでいく。演奏するとあらわれる化物など、幻想以外にありえないと思ったのが、p108にきてビックリのSFオチ! 死神少女同様、気持ちいいパターンである。

絵は、当時の青春劇画調であまり好きでないのだが、いやいやこのストーリーにマッチした画風ではある。

しかし、タイトルに「少女」とあるなら、ターゲットは中学上級〜二十歳前くらいの少女たちだろう。こんなSFが、受け入れられたのだろうか!?(巻末読者コーナーには、15才くらいの少女たちのおたよりがあり “西先生の作品はストーリーが良い” と、のべられてはおりますが。。)

【追記】
なんと、西先生はブログをやっておられる!
↓Yahoo!ブログ、マンガ家仲間とのお写真が拝見できる
西たけろうのブログ
↓さらに、かなりの作品が掲載されていてうれしい!
西たけろうの怪奇漫画劇場



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