発行:1965〜66年 講談社 別冊少女フレンドよりの切り抜き
オリジナルは、1960〜61年に少女クラブに連載されたもの。なんと総集編ではなく、別冊少女フレンドでも連載だ。ちば作品は人気があるので、再連載でもいいからと、別フレ創刊号から "名作シリーズ" と銘うっての連載となったらしい。
小学生の頃、これからは雑誌より新書判コミックスだと決めた。 オリジナルへのこだわりは特になくて、その長所を3つ考えた。
1. 何といってもまとめて読める。
【雑誌もちゃんと続けていればまとまるけどな】
2. 紙質がよくなり、線がきれいに見える。
【元原稿がB5雑誌用だと、新書判ではちょっと縮小しすぎだ。A5くらいがちょうどいいかな】
3. 欄外に広告や豆知識などいらぬ情報があり邪魔。
【これは今でも激しく同意。ケチな性分なので読まずにはいられない… マンガ家先生の情報なら大歓迎だが、広告はいらね。なぞなぞや豆知識には面白いものもあるが本編を読むリズムがくずれるからやっぱいらね! この「リナ」の場合、ちば先生の情報はせいぜい同時期に週刊フレンドで「島っこ」「アリンコの歌」を連載されていたことがわかる程度。邪魔な広告・なぞなぞ・豆知識にくわえ、友だち募集までのっている。さすがにその一人一人の住所氏名までは読まないが、項目を数えるように目は通すし。】
黒いソフトをかぶった男が、黒いトランクをリナの父へと置いていく。パイロットの父はそのことには答えず、仕事でアメリカへ。サンフランシスコの上空で事故をおこし、父は行方不明になる。母は花屋をはじめようとしたが、おじの金井にだまされていて家をあけわたすはめに。一家が長屋へ引っ越す日に母は流産してしまった。
貧しい長屋ぐらし、ばあやのお浜さんと母は渋谷の料亭で住みこみで働くことになり、兄・稔もアルバイトをしてかせぐ。リナは隣に住む貧しい民ちゃんを学校へいかせるため、自分の代役としてテレビに出させ、二人はなかよくなった。
まいごのあかんぼうの世話をしていると、母親らしき謎の女があらわれて養育費を渡される。が、リナと稔はその金には手をつけずあかんぼう・エリを育てる。母がせきずい炎で入院。命はとりとめたがリナたちは入院費をかせぐため今まで以上に働かなければならない。そのため、エリをかえしに葉山へ行く。謎の女は黒いソフトの男・R.タランチラの夫人で彼らは密輸団だった。行方不明だったリナの父もいて密輸団に手をかしていたのだった。
リナの父は逮捕される。その後、密輸団が全員逮捕され、脅かされていた父は無罪に。さらに何かで逮捕されたおじ・金井が改心してリナの家をとりもどすようとりはからってくれて、めでたしめでたし。
1950年代とは違い、しっかりしたちば先生の絵だが、最初の方のリナはちょっとお人形さんっぽい。中盤でオーバーオールに着替えてから、なじみのある「ハリスの旋風」の絵柄になってくる。で、ラストまでずっと同じオーバーオール姿ってのは、男性作家の悲しいところか。まあ星城朗二先生のように、貧乏なのにきらびやかに着替えまくりよりはリアルだが。
話は最初から密輸に関するものとわかり、テレビ出演や民ちゃんの問題などが、どうも連載を長引かせるための穴埋めエピソードに感じる。まあテレビを観ていた頃、海外ドラマに感じた中だるみ感ほどではないけど。












