発行:金竜出版社 定価150円 谷悠紀子作品集 「明日への幸福」より
金園社になる前の金竜出版社時代、谷先生の作品集。元の掲載誌がわからないが、「虹」とか「真珠」とかかな。5編収められているが、落丁だらけで完全に読めるのは2編だけ。。そのうちの1つ、「黒いキャンパス」をとりあげた。
画家の娘、マユミが筆をとらなくなった秘密をあかす。研究所に入ってきた、びっこのクララの才能に嫉妬して彼女の絵をナイフでずたずたに切ったのだった。その絵でも自分の魂がこもっているので部屋にかざろうと、キャンパスを持って出たクララは自動車にはねられて死ぬ。クララさんを殺したのは私なんだわ、とマユミは一生絵を描かないと誓ったのだった。「クララさんはまだ私を許しては下さらないでしょうか」で、おわり。
谷先生らしいこってりな絵柄が完成していく途中の作品群の中で、この作品はかなりの完成度。後の学年誌では描かれないだろう、悪い子が主人公なのもいい。