谷ゆきお

谷ゆきお●お嬢さん先生

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発行:1962年5月25日 東京漫画出版社 バンビブック

エマは生まれてくる赤ちゃんが弟か妹か楽しみにしていた。だが母子とも死んでしまった。おばあちゃんがエマを甘やかすようになり、わがままな娘になっていく。

父はおばあちゃんとエマをひきはなし、家庭教師&お手伝いさんとしてお嬢さん先生・松浦圭子を雇う。エマは先生の目をぬすんで、象の彫刻を売りに。その金でいなかへ行きおばあちゃんに会うつもりだった。が、先生にみつかる。でも先生はお金をくれて、いなかへ行かせてくれた。

いなかでは、岸壁から落ちたところをおばあちゃんが身を投げて救ってくれる。が、改心もせず東京へ帰るエマ。いとこのみち子(登場時はみや子)が馬で汽車へ追いついて包みを渡す。それはおばあちゃんがつくってくれたおにぎりだった。おばあちゃんはほんとは私を好いていてくれたのだと、やっと気づいてエマは改心する。で幕。

タイトルになっている「お嬢さん先生」松浦は、p86でやっと登場し、p110でエマをいなかへ送り出すともう出てこない。。タイトルは先に決まったが、描き出すとおばあちゃんとエマのくだりが長くなり、先生の登場は遅れたうえ早々に出番がなくなったのだろう。まあさほど魅力的な先生ではないので、エマ中心で描いてくれて良かったと思う。そのエマだが、わがまますぎてあまり可愛くないのがちょっと残念。。



谷ゆきお●ポポ帰っておいで





発行:東京漫画出版社 定価160円 バンビブック

伝書鳩マンガというと飯森広一先生のが有名だが、それは読んだことがないのでわからない。。つのだじろう「泣くな!十円」の影響で鳩を飼って可哀想なことしちまったな。。この作品はそれらほどのハウツーはないけど、当時の読者はかなり興味をもったのでは、と紙面の菓子カスの多さが物語る。。

ちひろ・よしみ姉妹はケガをしたはとをポポと名付け、かいはじめた。ポポの仲間が死んだ日に、姉妹の父も死ぬ。キーパンチャーをはじめた母の誕生日にプレゼントを買うため、ちひろ姉妹はポポを売る。母は腱鞘炎にかかり仕事をやめることになった。次は姉妹が働く番だ。うまい具合に、ポポが買われていった先の家で鳩の飼育係をさせてくれることになり、めでたしめでたし。

鳩という題材はおもしろかったけど、谷作品としてはもうちょい変なところがほしかったな。



谷ゆきお●母のふるさと

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発行:東京漫画出版社 定価150円 バンビブック

みちよと友人の静代は、なかよしになった勇二のさそいで、彼の田舎である千葉の花森村へ行く。花森村には、なかよしだった行商人のおばあさんが、住んでいる。父は花森村ではひとりで行動するなと、おばあさんに会わせないようにしていた。しかし、みちよはひとりで会いにいく。おばあさんは寝込んでいて、みちよに全てを話した。おばあさんの子ども、美代がみちよの本当の母で、みちよが生まれてまもなく、交通事故で死亡。それを知らされず、みちよは新しい母、昌江に大変かわいがられて育ったのだった。おばあさんは美代の墓前でこときれる。みちよは、あらためて今の母を大切にすると誓うのだった。

花の道しるべにつながるような乗馬シーンがあるが、ていねいでおとなしめの絵柄。少女ものとしては、この辺がよさげだが、谷作品としては、もっと後年のはじけたものの方が魅力ある。



谷ゆきお●白い十字架

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発行:昭和33年7月20日 島村出版社 シマムラ漫画シリーズ159 B6判 128頁

かなりボロい本で、裏表紙が無い。。奥付もはがれて無い。。けど、はがれた背表紙の下に奥付らしき紙が貼り付いており、昭和33年7月20日。大体このシリーズの通番から推し量ると、合っていそう。ヒモ綴じがコマまで及んでいるので、取り去った。見開きのページがよく見えるようになった、、いや、この見開きって、綴じのことなど考えられてないぞ。

谷先生の50年代作品。絵柄やストーリー運びにいくらか谷先生らしさを感じるけど、おしなべて50年代だな〜。。なにか原案となる小説などがありそうな話。

舞台は九州、天草の島々。町長の娘からいじわるをされる、松葉づえのあけの。実は、あけのこそ町長の娘なのだが、生まれた時、かたわとわかったので、魚売りの子ととりかえられたのだった。約束の10年がたったが、町長は元にかえさなかった。父はむしゃくしゃして海へ出て、舟から落ちて死亡。

あけのは母を助けるため魚売りをはじめるが、同業のおばばのいじめにあう。保養にきていた作曲家の松江は、あけのの歌の才能にきづく。町長は娘しずよの才能がみとめられず、くやしい。おばばと共謀してあけのを島へ取り残してくる。母が救出へ向うが海へ落ちて死亡。

あけのは松江とともに東京へ行き、立派な歌手になると、母の白い十字架に誓ってふる里を出ていくのだった。

東京の医者なら、あけのの足を治せるらしい。最後の1コマにて、松江先生の努力によって心をいれかえた町長達が見送ると、、いきなり帳尻。

結局、子どもとりかえの件は、父の死亡以降とくに問題とされず、それぞれの家の娘となっている。問題としても、こういう解決となるのだろうけど。



谷ゆきお●禁じられた再会

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発行:1962年9月6日頃 東京漫画出版社 バンビ・ブック

あると思った、谷先生のオーソドックスな母娘もの。「禁じられた再会」というタイトルだけで大体ストーリーがわかる。実際、大体そのとおりだった。

豊かに暮らすマミは、実の母親と出会う。しかし、それぞれに家族・生活があり、抱き合うこともなく別れていくのだった。

しかし、船上生活者という特殊な設定が話を盛りあげてくれる。もう少し船内での生活ぶりを描いてほしかったが、台風対策にイカリをおろしたり、船が行方不明になったり、となかなかの臨場感。

弟を通じて、お互いに母娘だとわかっていたのに、何というか歯がゆい感じは、この手の話の常とはいえ残念だ。。



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