竹本みつる

竹本みつる●雪姫ひとり旅






発行:1962年頃 若木書房

時代物は好きではござらぬが、竹本先生にしては悲壮感のない明るい話。この調子の現代ものがあるとよかろうに。。

雪姫一行が浜松の宿にとまったとき、将軍さまにけん上する利休の香炉を黒猫銀次にぬすまれる。目明しのお京とともに銀次をつかまえに行くはずだった
雪姫は、約束の場所に遅れてしまう。親切なおばさんとともに江戸黒門町まで旅をすることに。

途中でおばさんは別れると告げ、大切な茶碗を江戸の近江屋へもっていくよう
雪姫にたくす。同じ宿にいた銀次はお京につかまる。銀次は無実を訴え、逃げ出す。雪姫はあとを追い、銀次とともに江戸へ。近江屋ではおばさんと出会えなかったが、銀次は自分のにせものをみつけた。

銀次はにせものに指示をしたという大名屋敷へしのびこんで事実をつかんだ。雪姫の父であるうぐいす城の殿さまをひどくにくんでいた大名・黒川は腰元の里という女に利休の香炉をぬすむ役目をいいつけた。里は道中でしりあったニセモノ銀次をつかって香炉をぬすみださせたのだった。

里は江戸へ雪姫がこないので浜松へ旅だっていた。雪姫たちも浜松へ。里(親切なおばさん)をつかまえて、事件は解決。最後ふたたび江戸へ向う旅では、あらたにめしかかえられたお里が笑顔をふりまきながら行列にしたがっていた。

巻頭カラーが16頁、全体は144頁もある大長編でござる。3段組みのコマ割りだが大ゴマは少なめ。かなりの物語が詰め込めるわけでござるなあ。絵も非常にいい、おてんばお姫様ものでござった。



竹本みつる●しあわせよ今日は





発行:昭和34年10月10日 若木書房 傑作漫画全集647
たけもと・みつる作品集 第三巻 「幸福が扉を叩く」

竹本みつる先生、初期の作品と思われる。1950年代の絵柄だが、竹本先生らしいタッチも感じられる。もう1959年だからね。冒頭に出てくる手塚先生タッチの少年、一郎の雰囲気もいい。

祖父を亡くしたトモ子は、乳姉妹京子のいる津島家にひきとられる。京子にいじわるされ家出したトモ子は倒れるが、なんとか助かり、いなかへかえりたいと訴える。一郎と一緒にいなかから来ていたおじさんは、トモ子こそ津島家の娘だと真実をあかす。今度は京子がショックで家出。列車にひかれそうなところをトモ子が助ける。ラスト、駅で一郎とおじさんをいなかへ送るところに改心した京子があらわれ、めでたしめでたし。



竹本みつる●ひとりぼっちの太陽

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発行:昭和42年3月1日 小学館 小学四年生3月号ふろく 小四・カラーコミックス11
A6(文庫)判 80頁

親のいないユキは、おじのクリーニング屋でこきつかわれている。ある日、橋のそばで同じひとりぼっちのたきちゃんと友だちになった。ひな祭りの夜、人形を海に流しにいく約束のため、無理に出かけたユキだったが、たきちゃんはいなかった。おまわりさんが、おかあさんらしい人がむかえにきて大阪へいくようだった、と告げる。「よかったわね、たきちゃん」とユキはよろこぶ。

たきちゃんは毎日まっていたおかあさんに会えてめでたしめでたしだけど、ユキは飛び出してきたクリーニング屋にも帰れないんじゃなかろうか!? ラストの柱書きに「ユキにも、いつかきっと、しあわせがやってくることでしょう……。」なんてあるけど、根拠がねえし。。

竹本先生の作品ってこんな感じで、絵柄とうらはらな重〜い話が多い気がするなあ。。



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