発行:1960年9月頃 若木書房 泉9 No.28より
この本では、鳥海やすと先生の「カゲロー少女 ヘヤーピンの巻」がミステリー調で一番気になったのだが、ラスト数ページが落丁しており、後半がわからない。。
(『落丁』とは本来製本用語だが、最近では発行後、読者によって切り取られたりしてページが丸ごと欠けてしまったこともいうようだ。昔は奥付に『落丁・乱丁はお取りかえいたします』と入っていたが、これは製本時のミスのことで、読者が破ったページまで保証してくれるものではなかったはず。。でもまあ今は『切取り・破れ・脱落』よりも簡潔でわかりやすいから、私も『落丁』と表現する。)
絵は、森幸子先生の「友情のリボン」が妙に整っていてきれいでよかった。(森先生は、 "森由岐子"先生だろうか?)
しかし、今回はダイナミックな線が大変よかった、武田京子先生をとりあげる。
女子校に転校してきた江見さよ子は、ひとりぼっちでいる洲本さんが気になる。彼女は母親がバーにつとめていて、父親の顔も知らない不良といわれていた。なんとか仲よくなりかけ、さよ子が病気で学校を休んだ日。キャンプのグループわけのとき、洲本さんは皆からいやがられる。とびだした洲本さんは、みさ子に会いにいったが、母親がみさ子に洲本さんの悪い評判を話していたのを聞いて去る。雨の公園でたおれた洲本さんは肺炎になってしまい、みさ子にひと目会って死んでしまう。たった二行『私にもやっとお友達ができたわ……私にも……』と書かれた洲本さんの日記をもって、みさ子はキャンプに行ったのだった。