白鳥ひとみ

白鳥ひとみ●湖畔に泣く母






発行:昭和35年12月17日 東京漫画出版社 母ものがたり バンビブック

絵柄は1950年代をひきずっているような感じ、1960年12月だから当然か。A5判になって、50年代の線がふくらみを持ち、大きく華麗に見せてくれる。

着物の少女も出てくるのに、洋館が舞台の西洋おとぎ話に思え、やや親近感がもちにくい。うまいだけに、オオカミ風の犬や
ばあやにディズニー絵本的キャラを感じる。でも、女の子キャラはどの子も魅力的だ(区別はつきにくいが…)

洋館の女主人は墓参りの時、たおれていた久美子を救い、亡き娘、礼子にしたててしまう。久美子の妹明子と、ハイキングの時はぐれた友人チズ子がさがしに出かける。村娘・松子の案内で湖で笛を吹く女を見て「お姉さん、久美子さん」と声をかけるが逃げられてしまう。

松子はおまもり袋をてがかりに一人で湖を渡り、洋館へ行くがとらえられてしまう。再び村に来た明子とチズ子は松子のおじいさんとともに嵐の中
湖を渡る。洋館へしのびこんだおじいさんとチズ子は、使用人の個介においだされる。

ひとりはぐれて穴ぐらから屋敷内へ入った明子は、とらえられて礼子の友達にさせられる。百合の花をとろうとした礼子は、崖から落ちて久美子の記憶をとりもどす。久美子は逃げだし、追いかけた女主人は湖に落ちて死ぬ。絶望しくるったばあやは屋敷に火をつける。明子と松子は逃げだせて久美子に会え、めでたしめでたし。



白鳥ひとみ●パパはママが好き

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発行:東京漫画出版社 定価150円 明朗少女漫画

きれいな勢いのある線、大きめの頭、卵型の眼、これはえんど信一先生だとすぐにひらめいた。カットには「信」のサインがあるので間違いないだろう。えんど信一先生は、「遠藤信一」「遠藤しんいち」「遠藤進一」など多数のペンネームを使っておられる。ひらがなの苗字だと、短編・ギャグ系になる場合が多いようだが、「白鳥ひとみ」はそれと違う区別のようだ。この作品はギャグ系なのに対し、巻末リストには、シリアスな母娘ものっぽいのがみうけられるから。この時期、他社とかち合わないようにしたのだろうか。

話が四つ入っている。「ゴキゲンです!」おつかいからはじまり、パパのてつがく書を汚して日曜の映画いきが取りけされるが、まいごを送ったおれいにその家に招待されて、日曜のお出かけは、かなった。「ママの先生」ママへの手紙を燃やしてしまい、内容がよくわからないが、女学校時代の先生がたずねてくるらしい。焼かれた部分に大切な情報があって、というパターンだが、それほど差しさわることはなかった。「しょうじきである事の巻」(なぜかこれだけ「の巻」)友人がわってしまったハチの罪をミイちゃんハアちゃんがかぶり、パパ・ママのごきげんをとってごまかそうとするが、最後には真実が知れる。「女中さん入用」田舎者の女中さんがやってくる。実は三丁目と一丁目の小花家をまちがえたのだった。これはページ数の関係か16頁ですぐ終わってしまう。

ゆるいほのぼのなギャグ漫画は、本来好みでない。絵は一見普通っぽいが、読み進むとかなり魅力的!(それにしてもパパの描写は古すぎる気がするが)イキのいい線で、どのコマも方向がはっきりしており、ぐいぐい読め楽しめた。もう何話か読みたいくらい。

タイトル通り、どの話にもパパとママがでてくるホームドラマ、というより家庭漫画かな。。ミイちゃん・ハアちゃんは小学低学年っぽいが、学校のシーンはないので、はっきりしない。貸本の読者は、小学高学年〜中学卒業のティーンだから、対象が低年齢向きすぎではないかと思ったが、貸出票には、大勢が借りたあとが見受けられる。本文ページには、菓子のあとや、落書きまであるので、思ったより人気はあったもよう。



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