なツマグ

最初のデータ行で一番多い「A5判130頁前後」は省略

しきはるみ

しきはるみ●先生やめないで






発行:1962年9月頃 東京漫画出版社 バンビブック

赤塚不二夫先生風キャラが混ざってくる直前くらいで、キャラにバラバラ感がなくバランスがいい作品だと思う(バランス悪いのも面白いけどネ)。

級長に当選できず副級長となった夏代とその母・信子は、担任のアンナ先生となかよくする美智子をねたむ。夏代は、どうしてママはあんなに美智子さんを気になさるのかしら? と疑問だった。

これは赤ん坊すり替えものだな、と思ったが全然違った。。謎は前半ですぐにあかされる、なかなか珍しいパターン。

中尾美智子と今川夏代の父母たちは同級だった。夏代の父は美智子の母・和枝と結婚できなかったのを悲観して、和枝ににているというだけの理由で信子と結婚したのだった。信子ははじめのうちはなにも知らず和枝をまねるようしつけられていたが、数年後そのことを知り和枝と美智子を目のかたきにしだしたのだ(そもそもは夏代の父が悪いという珍しいパターン)。パパたちの話からわけを知った夏代は、美智子に勝とうという気持ちがますます強くなった。
(美智子の父は早々に亡くなっている)

夏代は自分の誕生日にクラスメートを大勢よんで、学芸会の主役に投票してくれとたのむ(男は全く出てこないってことは女子校か)。だが、主役に選ばれたのは美智子だった。学芸会当日、母・信子の入れ知恵で夏代は美智子の魔法びんに睡眠薬を入れる。美智子は舞台上で倒れて入院。

美智子の事故の責任をとってアンナ先生は学校をやめさせられることに。信子が仕組んだことだった。が、夏代はアンナ先生が好きだった。クラスメートに追求され、夏代がねむり薬を入れた犯人だとばれる。生徒たちはアンナ先生がクラスにかえるよう運動をはじめる。夏代は家出した。

病院の前で反省していた夏代は見舞いにきた父と出会い、いっしょにおみまいへと。夏代は改心して美智子にわびる。父によばれた信子もやってきて改心する。アンナ先生もやってきて、ふたたび教壇にたてるようになったと。その瞬間、美智子は目が覚めて、めでたしめでたし。

アンナ先生は外国人かハーフらしいのに、影が薄い。。美智子と夏代の話が主体で、主に苦悩する夏代の視点で描かれている。アンナ先生については、やめさせられようがやめさせられまいが、どうでもいい気がしてしまった。。



しきはるみ●母子心中

母子心中_01

母子心中_02

母子心中_03

母子心中_04

母子心中_05

発行:昭和42年1月頃 東京トップ社 愛の劇場5

京子の父の会社が倒産。父はライフル銃で自殺する。京子母子は粗末な家に引っ越す。母は保険の外交員を始めるがなかなか契約がとれず、着物を質に入れて生活をまかなっていた。

母が自動車にはねられて入院。加害者であるサクラ運送会社の社長が入院費を面倒みるといったが、ひと月たってもその男はあらわれなかった。名刺の住所に京子が行ってみると、その会社はなくなっていた。京子は入院費のため学校を休んで書店員として働く。歩けるようになった母は運送会社をたずねて会社がないことを知る。

京子は、学校を休んで働いていることは、母が退院する日までふせることにする。が、入院費のあてはないと絶望した母は、京子を抱えて踏切から列車へとびこみ心中したのだった。で幕。

大ゴマが多くストレートな話だが、大ざっぱさは感じない。線に魅力があるのと、ただ心中するだけの話ではないのではと予測したりで、なかなか楽しめた。京子のヘアスタイルががどうにもおばさんっぽいのが残念だが。。




しきはるみ●継母怪談

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発行:昭和39年12月頃 東京漫画出版社 バンビブック

昭和38年には “しきはるみシリーズ” というのがあったのだが、ただのバンビブックに戻っている。しき先生お得意の継母ものと怪談ものをあわせた作品かと思いきや…

康子は、いじわるな継母とその娘・友子と三人で軽井沢のスキー場へ。母の墓に向かって、辛いと涙を流す。吹雪のスキー場で友子が行方不明になる。あくる日、父がかけつけるが見つからない。その夜、康子の夢に母が出てきて友子の居場所を知らせてくれた。翌日猛吹雪の中、康子は夢にでてきた木の下で友子を発見。冷たくなっている友子を抱いてあたためながら、康子もたおれる。

二人は父たちに発見され東京へかえった。友子は奇跡的に助かったが、康子は入院。意識が戻った康子の前に、父と改心した継母と友子。めでたしめでたしに思えたが、その夜容態が悪化して康子は死んでしまう。ラストは康子の無事を祈りながら継母と友子が病院へかけていくシーン、で幕。

「継母怪談」というタイトルにゃそぐわねえ内容。夢に母が出てくるだけだもの。。発行一月前にタイトルを決めて予告を載せ、フルカラーの表紙を先行しなければならないからだろう。でも、内容はまだ決まっていなくてこのように違うものになるーーー多くの作品でみられる普通な出来事なんだな。。

巻末にある予告「あまったれとおてんば娘」は、テキサス生れのテーラが日本にきてかつやくする話とあるが、実際はあまったれと無責任っ子となる。

でも、絵は冴えていて吹雪の雪山シーンは盛り上がるし、どこで継母の怪談になるのかさぐりながら読めるしで、なかなか楽しめた。




しきはるみ●継母幽霊

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発行:昭和40年4月頃 東京漫画出版社 バンビブック しき・はるみシリーズ 少女シリーズ 少女怪談

色々シリーズ名がついているが “継母シリーズ” とはなっていない。“継母シリーズ” は東邦漫画出版社だから東京漫画出版社に引き継がれたりはしなかったもよう。でも得意な継母ものを怪談ものと合わせる技は快調なようで、次号予告は「継母怪猫」となっている。

母娘の親子心中が発見される。娘・道子は一命をとりとめるが、母(継母)は死んでしまった。結核をわずらい長い療養生活をしていた継母は、迷惑をかけないよう田舎へかえる予定だった。が、道子は継母といえど愛していて家から追い出すようなことには反対。そこで継母と心中をはかったのだった。

みんなから白い目で見られる道子。そんなとき、父の会社の社長夫婦から養女の申し入れがあり、道子は自分が行くと申し出る。社長夫婦の家で暮らすようになった道子の前に、継母の幽霊があらわれる。

継母の幽霊には夜しか会えず、触れることもできない。道子は継母のいる死の世界へ行こうと決心する。きてはいけないと逃げる継母。それを追いかける道子はどこかへ転落、、、ついに継母と同じ世界で幽霊として仲良く暮らせるようになり、めでたしめでたし。

め、めでたいのかこれ?? とも思うが、全然怖くない明るい物語、怪奇ものお決まりの黒一色インクじゃなく明るい紺かピンクの紙面、意外性を残しつつも丸くおさまったいい作品じゃん。



しきはるみ●継母のねがい

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発行:1961年頃 東邦漫画出版社 しらかばブックNo.19

赤塚調のキャラが登場してくる以前のしき先生の作品。この頃の絵もいい! 主人公はありきたりの良い子だけど。

この「継母のねがい」はしらかばブック2「継母」の続篇、とある。しらかばブック“No.19” なのに間があきすぎのように思うが。。一応巻頭に前回のあらすじっぽいくだりはある。さらに、しき先生の継母シリーズは毎月一冊ずつ発売と。続篇といってもシリーズのことで、1巻完結形式なのかも。。

会社がつぶれびんぼうになった夫にあいそをつかし、明美の母はでていった。ちいさな明美をかわいそうに思い、となりのおばさんが継母になった。そして本編が始まる。

明美の父はやっと工面した金をどろぼうに取られ、追いかけたところを自動車にはねられて入院。明美は人さらいにさらわれ、花売りをさせられる。実の母が明美をみつけ、人さらいからさらう。だが、明美は実の母になつかず、急性盲腸炎になってしまう。入院した病院に父も入院しており、継母にめぐりあえてめでたしめでたし。去っていく実の母を
、最後に一度だけ「おかあさん」と呼ぶ。




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