三条こみち

三条こみち●虹の子守歌

a82d0013.jpg

a09d95b3.jpg

d694a3dc.jpg

de9e72cb.jpg

発行:昭和35年1月1日 東邦漫画出版社 長篇ジュニア・ブック

金持ちの家でしあわせにくらせるようにと、母親は生まれたばかりの実の娘を病院でとりかえる。母はユカに、その事実を告げずに死んでしまう。おじいさんのもとで暮らすユカ。山の中では、学校にも行かせられず、実の母をさがすこともできないと、おじいさんはユカをあずける決心をする。ユカの行き先は偶然にも実の母の家だった。おじいさんは真実を書いた手紙をお守袋に入れ、死んでいく。

ユカは、とりかえられた娘、清子にダイヤ泥棒の罪をきせられる。(清子は何故かとてもウランちゃん似…)母は、ユカのお守袋の手紙から、実の娘である真実を知る。家をでたユカは、夢中でいつのまにかおじいさんといた山へかえっていた。山小屋で寝ていたが、育ての母のまぼろしにさそわれて、外へ出て、崖から川へ転落。ユカのあずけ先をとりもったおばさんに偶然救われる。

実の母がむかえにきて、病院へ。失明が心配された目は治ったが、記憶喪失になってしまう。清子は改心して、ユカの面倒をみる。母の歌う虹の子守歌で記憶をとりもどすようだが、ページが切り取られていて詳しくは不明だ。。

全176頁もある本で、一部と二部の間に「真珠のひとみ」というシンデレラ物語風な短編が収められている。これがあるよりも、本編のページ数が増える方がいいな。三条先生らしいダイナミックさには、まだ到達していない頃の作品と思うが、これはこれでなかなかポップな味わいだ。



三条こみち●母の日記

c740eabf.jpg

7e2fcab2.jpg

8bd4743d.jpg

0d0f32e7.jpg

発行:1961年頃 東邦漫画出版社 しらかばブック18

う〜む、続編があるとは、、前編とか1巻目とかの表記がほしかった。。わたなべまさこ先生系の絵で人気がけっこうあったから、続編もゆるされたのかなぁ!? 三条先生としては、まだちょいとダイナミックさが足りないのでは? という感じの絵。

大きなおやしきに住む時枝とおばあさん。5年前、時枝の夫と娘、ジョージとジェニーは台風で流されて行方不明。今だにジェニーを想うあまり、時枝は頭が変になっていた。夫のジョージは、まるで想われていないけど。。

使用人の娘・玲子は、ジェニーを東京でみたとののうわさをたよりに母とさがしにいく。元使用人の平井夫婦は、にせもののジェニーを時枝にあてがい、大金をせしめる。本物のジェニーは、記憶喪失ではあったが、生地や父母をさがすため、孤児院から家出した。玲子と母は孤児院にたどりついたが、入れ違い。

戻ってきた玲子は、ジェニーがにせものとあばく。単身平井をとっちめにいくが、つかまってしまう(あたりまえだろうに)。。街をうろついていたジェニーも平井につかまっていた。

屋根裏にとじこめられた玲子とジェニーは、助けをこう文を書いたハンカチを万年筆にくくりつけ、窓から投げ誰かがひろってくれることを願うのだった、で続く。。

続きが気になるといえば気になるが、どうせ無事解決するに決まってるから、とも思う。本物のジェニーと時枝が偶然出会うシーンもあり、今にも解決しそうなところを、そうはさせず、続編へひっぱっていかれるわけで。。

「母の日記」の日記については、ジェニーのゆめを日記に書いている、というシーンが一度ある。続編ではラストに花をそえる感じであつかわれるのではなかろうか。

p8までは4色、1961年頃だとp16までが普通だろうけど、その分p9〜p40まで一見開きごとに赤青の2色印刷という体裁になっている。



三条こみち●エリ子は泣かない

c1f4c462.jpg

dab54197.jpg

4c556ae6.jpg

6dd74bf5.jpg

発行:きんらん社 定価170円 きんらんブック

わたなべまさこ先生の画風をとり入れるのは、なかなか難しいと思う。三条先生はダイナミックな線で、それをうまく自分のものとされている。バラ色の海でも感じたが、ぐいぐい話は進む。絵に合った話のスピードと思う。

両親のいないエリ子は、母のクラスメートに育てられる。祖母は健在で、老舗のようかん屋を営んでいる。エリ子を義母からひきはなしひきとりたい。

従業員夫婦は、あずま屋をのっとりたい。くさったようかんを売り出し、返品の山をきずく。ショックで祖母がたおれ、義母はエリ子をむかわせる。義母はエリ子を忘れるために死をえらぶ。

ピストルをもちだした従業員夫婦は、すったもんだの末、夫は誤って撃たれ、妻は自殺。浜辺でたおれていた義母は救われ、めでたしめでたし。



三条こみち●バラ色の海

f6627da4.jpg

0bc649e6.jpg

47bd92f1.jpg

6c39522a.jpg

発行:1962年 東邦図書出版社

わたなべまさこ先生とか、たかくらゆり先生の影響があると思われる画風。非常にダイナミックな線で、コマ割りも大きいが、それでもストーリーは大ざっぱにならず、ちゃんと進んでいる。

これは、海洋冒険少女ものとでもいおうか、悲哀ものの基本をふまえつつも、派手な物語となっている。

たおれていた少女を、チル姉妹は家にはこぶ。少女、昌子とチルは異母姉妹で、チルの本当の母親は鬼女、銀子だった。

銀子は昌子の父と財産目当てで結婚。生まれたチルの身をあんじた父は、女中だった静江にたくしたのだった。

銀子の目当ては、海ぞくの宝のかくし場所を記した地図。海に沈んでいる船から、チルがひろった黄金の小箱の中にその地図はあり、これをめぐっての大騒動。

最後は、改心した銀子が海に飛び込む。マンガでは、海に落ちたり身投げしても助かるのが常識(昌子は登場シーンも入れると2度も助かっている…)だが、ラストにおいては物語をかたづけるためにそうはいかないのだ。。

デッサンがすごい方向にいっているが、ダイナミックさが勝り、大変魅力的。荒唐無稽な宝さがしがからむけど、それもまた魅力的だ。




カテゴリ
月別アーカイブ