なツマグ

最初のデータ行で一番多い「A5判130頁前後」は省略

さがみゆき

さがみゆき●悪女の血が凍る






発行:昭和41年1月頃 ひばり書房 さがみゆきサスペンス劇場No.13

ひろしは受験勉強をするために、ばあやのふるさとである小島にやってきた。世話になるばあやの孫娘・いく子からこうもり少女には近づかないようにいわれる。だが、ひろしは次第にこうもり少女・あやと仲良くなっていく。こうもりのエサ(ネズミだと思うが猫のようにも見える…)を網でとっていたひろしは、まむしに腕をかまれて倒れる。

あやはひろしの腕から毒をすいだす。そこをいく子が目撃。村人たちを呼び、あやを追いはらう。いく子は、あやを本当のこうもり少女に仕立てるため、まむしとひろしの首を傷つけたペンダントを海へ捨てる。

ひろしは回復する。村人たちにせめられたあやは、海へ。こげない舟でそれを追ったひろしも帰ってこなかった。で幕。

あやが生まれた日にこうもりが家のまわりをとびまわっていたのを、村人たちは呪われているとした。東京からきたよそ者・あや一家に冷たくしたかったのだろう。あやが海へ消えた日にこうもりの大群がとびまわったのは、
遊び相手がこうもりしかいなくてエサを与えていたからで、慣れた動物の行動だと思う。で、特に超常現象の起きない話となる。

ちょっと物足りない。。登場人物は、ひろし・あや・いく子の三人にフォーカスされているので、こうもりにもっと不思議な働きをさせるとか…。巻末に記されたみゆき先生の住所はまだ京都市だが、サスペンス劇場も13巻目ならもう充実期だと思うんだがなァ。

さがみゆき●ふりむけばひとり






発行:金園社 定価200円 虹文庫No.57

亜矢子のために踊る美加と後悔するママのシーンから、回想がはじまる。

ママはふたごの姉・美加をかわいがる。亜矢子は私にはパパがいると、映画にいこうとはりきる。が、自動車にはねられそうになり、パパは亜矢子をかばって死んでしまう。亜矢子は不良のたまり場であるロカビリー喫茶で、夜あそびをするようになる。母は人形づくりの仕事をはじめ、美加はアルバイトをしながらもバレーのレッスンを続ける。

亜矢子はあきらと出会い、惹かれあう。姉が歌劇スターの野原節子であるあきらも、亜矢子と同じく母にはかわいがられていなかった。美加はバレーをやめてカトレア劇団の踊り子として働くことに。生活のためではなく好きだからといってなみだをながす。

主役の座を奪われそうになった野原節子は、不良に美加を舞台にたてないようにしてくれとたのむ。不良仲間からそのことを知らされた亜矢子は、一人でK劇場の裏へ。材木を倒されたが、何とかかわす。あきらがあらわれ、不良と格闘しはじめる。亜矢子はあきらを止めるが、ふりほどいたあきらはよろめいて、不良のナイフへ倒れこんで死んでしまう。亜矢子はそのナイフを持って不良を追うが、石につまづいて転んだはずみで自分を刺して死んでしまう。

節子は改心して、わたしをにくんでくださいと。美加は、あなたへのにくしみを私は舞台にぶつけるんだわ、と言いはなつ。で、幕。

材木を倒されて亜矢子は死ぬのかと思ったら、そこは切り抜けヤマ場へと思ったら、、何ともドタバタギャグのような展開で二人は死んでしまう。。これはインパクト大で、逆にすごいゼ! まあ、亜矢子は材木をかわした際にケガした足をあきらの足にひっかけてしまったとか、絶望した亜矢子は自分を刺すのを厭わなかったとか、考えられるけどサ。



さがみゆき●はとの目に妖女の瞳

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はとの目に妖女の瞳_02

はとの目に妖女の瞳_03

はとの目に妖女の瞳_04

はとの目に妖女の瞳_05

発行:昭和43年8月頃 ひばり書房 みゆきサスペンス劇場No.28 B6判 120頁

サスペンス劇場もNo.28、推理ものよりもホラーものの要素が強い。

みどりの姉・智子ははとに襲われてけがをする。智子の婚約者・春樹の家でのことだった。みどりは地下室で死体を発見。智子を治療した医者から真実を聞く。死体は春樹の義妹のあや子だった。あや子は春樹と結婚するつもりだった。だが春樹は東京で出会った智子と婚約。あや子は自殺し、母は死体を葬りたくなく地下室で保管。はとはあや子がかわいがっていたチー公で、あや子の霊がのりうつったのかもしれない。

春樹は、智子を襲ったチー公を撃ったが、智子まで殺してしまう。その後、あや子の母は発狂、行方不明になった春樹に似たお坊様の姿をみたという人もいた。

はとは好きじゃないけど、こんなふうに描かれるとかわいそうに思えるな。。


さが・みゆき●はるかなる海鳴りの果てに






発行:東京 金園社 定価170円 虹文庫26

みゆき先生、かなり初期のものと思われる絵。主人公由美子は素直な良い子ではない。1950年代だと誰の作品でも、とにかく主人公は良い子だったのが、進化というか変化してきており、その個性が描かれている。

自分と妹をすてた母をみかえすために、同じ女優をめざす由美子。大部屋での生活がつづいているなか、縁故関係でスターになる人へのはらだたしい気持ちから自分が大女優・園田京子の娘であることを話してしまう。とたんにスターになれた由美子。しかし、親の七光りではないことを証明するため東光映画をやめフリーになると宣言。

由美子は、前後の考えもなしに車にのってフルスピードでとばし、崖にぶつかって重傷をおう。骨折がなおり順調に回復していくかに思えたが、右足のひきつれるようないたみは神経や血管をひどくいためていて再起不能だと。海辺のいなかに戻った由美子はおばあちゃんが亡くなったことを知る。そのあとを追うように遠く遠く海鳴りの果てに消えていった、で幕。

このパターンだと入水していったギリギリのところで、母や妹に救われめでたしめでたしとなる方が普通だと思うが。そうではなく死んでゆくことで、潔いきれいな作品になっている。

最後の浜辺シーンは効果的。だが、同僚のゆき子がスタンドインの事故で死んだ断崖と重ねあわせるように、断崖で死んでもらった方がドラマチックよネ。



さがみゆき●青い星座に夢のせて

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発行:金園社 定価170円 虹文庫No.35

みゆき先生の長編三作目となる作品。地元京都の舞妓さんを描かれている。専門用語もでてきて、なかなか本格的だ。

両親をなくし叔母にひきとられていた由起子は、いじめから逃れるため、母の友人、節子をたよって家出した。節子のもとで、中学校と舞妓になるための稽古に通う。節子の娘、桂子は舞妓になるのをいやがってやめた。節子にかわいがられる由起子には、冷たくあたる。といっても、第1部中学卒業まではツーンとして、節子に告げ口する程度で、ひどいいやがらせは描かれていない。演劇部にまねかれて「夕鶴」の主役をやるくだりでは、当然いやがらせを受けると思ったのだけど、、それを入れるとページ数が足らなくなるからかな!?

第2部、中学を出て1年後、舞妓としてのおひろめの日をむかえる由起子。その日、桂子はお客として友田や同級生をともなって、お座敷にきた。みじめな思いをして、にげだした由起子だったが、友田にはげまされる。最後、桂子が母にしかられて改心してめでたしめでたし。



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