発行:昭和35年10月1日 東京漫画出版社 バンビブック
巻末にバンビブック6 からのリストがのっているので、バンビブック初期の頃。おだしょうじから京山アリサに改名されてまだ間もない頃ではないかと思う。“京山アリサシリーズ” は、まだ始まっていない。絵柄はおだタッチが京山タッチに変る過程で、眼のクリッとした感じはこの時期の特徴になると思う。
美樹は本当の両親にあうために東京へ家出する。養父のかたみと持って出たカタログは、矢島貿易社長が外国商品のにせ物を作って輸出しようとした証拠品だった。社長は改心して回収しようとしていたのだが、たのまれた田村はボロ儲けをたくらんで、美樹を誘拐したり社長を脅迫したりする。ジャーナリスト吉岡に助けられ事件は解決。最後は養母が、実母へ美樹をあけわたし汽車で去ってゆく。生みの親より育ての親という結末でないのは、非常に珍しい。
176頁もある大長編なので登場人物も多い。表紙の絵にある木組みから美樹が落ちてしまうシーンは本編にもあるが、それを救ったのは養母でも実母でもない親切なバーのママだ。