木内千鶴子

木内千鶴子●黒い渚

bfedb5b2.jpg

c811c00a.jpg

46975b59.jpg

6d54791a.jpg

発行:1960年8月頃 金竜出版社 すみれ(No.7)より

45頁の作品だが、1冊にしてほしいくらいのストーリー。しかし、絵は長編にしてほしいというほどのものではない。1950年代の手塚・ディズニー風な少年マンガに近いものから、1960年代の少女マンガ絵柄へと変わる時期の中途半端なものではなかろうか。

まずしい漁村で暮らす波子一家。父が領域外で密りょうをして、生計を立てている。母は、市場の臨時雇い。波子は学校を休んで、海草をとり、弟のヒロ坊と売り歩く。

道で寝ていたエミちゃんと出会う。彼女は、つなみで波にさらわれた父母を探して1年ちかくわたり歩いていたのだ。姉弟はエミをひきとりたいが、母は反対だ。エミは魚や海草をとるのが得意で、秋までは楽しくおいてもらえた。

父の船がだほされて、1年間拘留の身となってしまう。エミは秋の海に貝をとりに入り、肺炎になってしまう。母はエミの面倒をみる決心をし、医者を呼ぶ。

その夜、エミはつなみに気づき、波子たちに知らせる。おかげで一家は助かったが、エミの姿は消えていた。



木内千鶴子●キューピットではないけれど

d918eb0a.jpg

437c47ce.jpg

4183aa38.jpg

f5689785.jpg

発行:1964年12月頃 若木書房 ゆめ12月号(No.60)より

美苗のあこがれは、社長令嬢同士の冴子と藤代。その2人の仲なおりをとりもつ。

短編なので、これで終わりかと思ったが、2人に仲良くしてもらえ、冴子のバースディパーティに呼ばれる。

意外にも恥をかいたり、上品ぶられることもなくパーティは成功。しかし、上流家庭の人とはどうもピッタリこないと、2人とは距離をおいてつき合っていくことにして、めでたしめでたし。

まあ、後半で何か事件があれば短編じゃ収まらないだろう。絵はなかなかキュート、美苗のヘアスタイルがおてんばっぽくていい。ちょっと意外な展開もあり、うまくまとまった短編作品だ。上流階級をみとめるような点は、あまり好きではないけど。。




木内千鶴子●はぐれ鳥泣きぬれて

efd58140.jpg

f068f470.jpg

0b7fcc61.jpg

b90de0a8.jpg

発行:1965年2月頃 若木書房

これは、読者から寄せられた実話を元にしたストーリー。木内千鶴子先生は、香川県に住んで作品を描いておられたようだ。この実話の主も香川県(観音寺)となっているのは、偶然かな。

千枝子の弟と父が川で死亡。祖母・祖父につらくあたられて、母は家を出る決心をする。この頃の少女マンガなら、姉妹も一緒に家を出てがんばる姿が描かれるのだろうが、実話は違う。

千枝子はつらい生活を避け、高校にいくために家に残るのだった。しかし、予定と違い家では祖母・祖父・おば・おじからやっかい者あつかいされる。実話なので、そんなにいい子ではないし。。

母・妹とその新しい父のもとへ家出するが見つからない。婦人警官の世話で観音寺へ返される。中学卒業後、大阪へ就職したが、母や世話になった婦人警官には再会できないまま話は終わる。。

絵はかわいいけど、実話の重さがリアルさを与えてくれる。



カテゴリ
月別アーカイブ