発行:1960年8月頃 金竜出版社 すみれ(No.7)より
45頁の作品だが、1冊にしてほしいくらいのストーリー。しかし、絵は長編にしてほしいというほどのものではない。1950年代の手塚・ディズニー風な少年マンガに近いものから、1960年代の少女マンガ絵柄へと変わる時期の中途半端なものではなかろうか。
まずしい漁村で暮らす波子一家。父が領域外で密りょうをして、生計を立てている。母は、市場の臨時雇い。波子は学校を休んで、海草をとり、弟のヒロ坊と売り歩く。
道で寝ていたエミちゃんと出会う。彼女は、つなみで波にさらわれた父母を探して1年ちかくわたり歩いていたのだ。姉弟はエミをひきとりたいが、母は反対だ。エミは魚や海草をとるのが得意で、秋までは楽しくおいてもらえた。
父の船がだほされて、1年間拘留の身となってしまう。エミは秋の海に貝をとりに入り、肺炎になってしまう。母はエミの面倒をみる決心をし、医者を呼ぶ。
その夜、エミはつなみに気づき、波子たちに知らせる。おかげで一家は助かったが、エミの姿は消えていた。