オオトモヨシヤス

オオトモヨシヤス●川ぶね物語

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発行:昭和32年9月15日 講談社 なかよし増刊号ふろく B5判 25頁
原作:ドーデー

捨て子のトトールは、船で暮らす貧しいルーボにひきとられる。娘のクララと仲良く暮らし、立派に成長していった。トトールをほしがっていた一人暮らしのジャンじいさんが実の父親だとわかり、クララと別れの日がきた、で幕。

B5の4段組だがページが少なく、さっさと話が進んで終わる。絵はていねいだけど、1950年代の画一的な感じ。この時代、海外名作ものは他のマンガ家先生も大体こんな感じなので仕方ないかな。舞台を日本にして、その船上生活を描いてくれればいいのだが。でも、ページを増やす必要も出てくるか。。



オオトモヨシヤス●マリちゃん朝よ!

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発行:1961年11月頃 東邦漫画出版社 少女のゆかいな漫画

オオトモヨシヤス先生、おなじみのマリちゃんの短編集。1950年代の丸っこい絵から、1960年代のかっちりした絵になる過渡期的な画風に思える。話はほのぼのギャグだが、ちょっとした出来事を発展させて、なかなか面白くなっている。

たとえば「つりの名人」では、ガラクタしか釣れなかったマリちゃんだが、くず屋に買ってもらえ、その金でタイを買って、友人からは兄以上とみとめられる。

しかし、主人公のマリちゃんよりも、オンチな兄の方が、なにかと活躍しすぎるなあ。。

p119からは、いずみ先生の「セッちゃん」という短編が収められている。



オオトモヨシヤス●ほほえみちゃん

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発行:昭和30年2月20日 中村書店 ナカムラ漫画シリーズ12 B6判 128頁

日ごろ、表紙なんざクソのやくにも立たねぇ! といってるくせに、このように別の表紙に差しかえられた本を手にとると、悲しい。。たぶん貸本屋さんが、体裁を整えるためにやったのだろう。。裏表紙の方は、本物のようだ。

先頭から4色刷りはおなじみだが、この本はP17以降、最後まで2色刷りとなっている。4色ではないものの、マゼンタに近いピンク、グリーン、ややくすんだイエロー、オレンジ寄りのレッド、とブラックの組み合わせでかなりの豪華版。

オオトモ作品だが、主人公はマリちゃんでなく「ほほえみちゃん」だから、エミちゃんだ。いくつかの短編からなるユーモア作品。

何だかおまけページが充実。。ほほえみちゃんのテーマソングが載っている。作詞のみならず、オオトモ先生が作曲までやっておられる。あと、スタイル画、クイズ、七草と花ことば図鑑。

赤塚マンガで育った身としては、こういうほのぼのユーモア系は、とてもゆるく感じて苦しい。。



オオトモヨシヤス●あの道この道

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発行:昭和31年9月1日 講談社 なかよし九月号ふろく A5判 82頁 
原作:吉屋信子

ふろくにもかかわらず、ハードカバーがほどこしてある。高くつくと思うが、当時はこれが売りになったのかな。

貧しい漁師の娘として育ったしのぶは、実は大金持ちの大丸家のおじょうさんだったという話。

いじわるをするちづ子は、実は漁師の娘とわかり簡単に改心する。これはよくあるパターンだが、こういう敵役さんはもっと真剣に恥を知り、悩んでほしいものだ。。

サイドストーリーとしてある、しのぶのボーイフレンド新太郎が温泉を掘り当てるくだりは、余分な気もする。少女小説の大家である吉屋信子先生の原作なので、本来は話に厚みを増す効果があるとは思うが。

オオトモ作品だが、原作つきだからかヒロインの名は、まりちゃんではない。ビー玉のような光沢のある大きな眼。強弱のある線に見えたが、よく見ると均一な細い線が基本で、人物の輪郭だけ太い線にして、引き立たせている。ていねいで好感がもてるが、その他の登場人物はどうにも古いマヌケキャラに見えてしまう。。(50年以上前の作品なので古いに決まっているのだが…)

特筆すべきは、巧みに描きこまれた背景描写! 定規を使わない、丹念な細線がつらなる。この背景と人物のハーモニーが一番の見どころだ。

さらにスクリーントーンが効果的に使われている。この時代、スクリーントーンはあったのか。西たけろう先生ブログには、昭和34年にはあったがアミ部分を青鉛筆で塗るのが主流だった、と書かれていた。が、昭和31年ではどうだろう。まあ、明暗がはっきりな紙でも貼っておけば代用になるのだが、この作品のはスクリーントーンにちがいないように見える。



オオトモヨシヤス●ガメツイまりちゃん

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発行:1965年8月頃 若木書房 風船8月号(No.11)より

ガメツイといわれるまりちゃんは、めぐまれないひとびとにお金を送っている、心やさしい少女だったという話。

まりちゃんシリーズというのではなく、この頃のオオトモ先生は主人公の女の子の名前を「まりちゃん」で統一されているようだ。絵柄もほぼ一緒で、家族などの設定はそのつど違う。

やや平面的だが、お人形さんっぽい明るい絵だと思う。その方向で田中美智子先生は成功されているけど、オオトモ先生はどうか。

眼と眼の間が狭く、マンガらしくない。こめかみあたりに眼を描かない方が正しい位置だとわかっているが、違和感を感じてしまう。




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