発行:東京 金園社 定価150円 ダイヤモンドシリーズ8
伊藤澄子先生は1950年代のB6判貸本漫画の頃から活躍しておられる。この本は150円なので1960年前後になるはずだ。まだ50年代をひきずりつつも、新しくスタイル画的な横顔も描かれる。
東京の兄に三万円を届けにきたちか子は見しらぬおばさんにかばんごと盗まれる。兄は絵の勉強をせず、金は何か薬品の実験を続ける友人に与えていた。その友人、佐伯は病に伏せており、刑事から麻薬を作っていると疑われていた。ちか子は出会った画家の卵、春美のへやでうどんをごちそうになり、その先生・田島に一部始終を相談する。田島の妻が警視庁の知人に問い合わせ、ちか子の兄・登の居場所がわかる。ちか子は兄に会えた。その署につかまっていたかばんを盗んだおばさん・香代は悪気はなかったとあやまる。香代は札つきだったが、すでに改心していたのだ。佐伯は自殺、登宛ての手紙には麻薬を作り使っていたと記してあった。2ヶ月後、田島のもとで勉強した兄の絵が入選したとの知らせが届き、めでたしめでたし。
176頁もある本だが、本編はp128で終わり、そのあと「雪山は聖けれど」という中編が収められている。