こだまつぎよし

こだまつぎよし●すてきなパパとママ






発行:1964年12月頃    若木書房 風船 No.3より

特に大きな事件が起こるわけではなく、派手な動きのあるシーンもないが、そこがいい素敵なホームドラマ。線が冴えているのはもちろん、カラーページのネンコちゃんの耳付きコートの赤も冴えている。

クリスマスイブ、姉(名前不明)と妹ネンコは、ママの命令でボーナスを守るためにパパをむかえにいく。二人はよわむしのパパにボーナスをブワーとつかっちゃいなさい、とけしかける。パパは酒をのみ、タバコをすい、パチンコをして、姉妹は満足。家へ帰るとママはいなくて、"いなかへかえらせていただきます"と、かきおきが。「きっとかえってきます  パパはママを信じています」とパパ。実は押入れにいたママが「わたしもパパを信じています…」で、めでたしめでたし。


こだまつぎよし●小さなしあわせ






発行:1962年10月頃 若木書房 ひまわりブック146

武田京子先生にちょっと星城朗二先生を加えたような絵柄。この翌年1963年には今村洋子先生風になるのでその過程と思えるが、ユーモアマンガではないので故意にこの絵にしておられるのかもしれない。何しろ完成されたきれいな線だから。

児童相談所にあずけられていた葉子とミコ姉妹。予定より早く一年でおむかえが、しかもキャデラックで! 母は女中なのに家の主がむかえにきたのだ。信じられないほど豪華な部屋でくらせることに。学校へも行けて葉子はクラスの人気者になる。それをねたむのが、目つきのするどい丸山和子と、どこかさびしそうな後宮弓枝。

もうここで大体のストーリーが予想できる。弓枝こそ葉子の住む家の主の娘だろう。けど、主は葉子の母と結婚するのだろう。予想はほぼ的中した、、ああうれしいワ!

丸山和子はちょいとねたんだだけで、以後出番なし。葉子は弓枝が気になっていた。パチンコ店ではたらく弓枝をみつける。弓枝は退学をかくごして店から出てきたが、葉子は秘密にする。二人はうちとけ親友になりかける。が、住所交換をして葉子の住所を知ると、その紙をやぶりすて弓枝は走りさる。

葉子は女中がしらの八重お姉さんから真相をきいた。弓枝はこの家の主である大会社の社長の娘だった。夫婦はうまくいかず、社長は妻を教養のない女だとばかにして離婚したのだ。教養のある葉子の母を気にいった社長は、ずっと独身のふりをして結婚をせまる。葉子の母は子どもたちのために承知したのだった。

葉子は家出する。一夜を明かした公園で弓枝と再会。弓枝の家へいき、学生らしいアルバイトを二人でさがそうと。そこへ弓枝の母と、社長家からひまをいただいた葉子の母とミコがやってきて、そのガード下の家から再出発をちかうのだった。

ちょっと珍しい展開だ。この頃の少女マンガでは再婚を決めるのは子どもである。子どもが相手を父または母と認めるかどうか、それだけで結婚は決まる。男女の愛はほとんど問題とされない。この作品は愛のない結婚はしないという結末。まあ葉子が家出して訴えたからで、子どもが親の再婚に判断をくだしたようにはなるのだけど。。



こだまつぎよし●母子三人






発行:1961年10月頃 若木書房 泉 別冊 No.8より

今村洋子先生風になる直前くらいの絵柄と思われる。

民子の、少年院帰りの兄に職がみつかる。うれしくてオートバイをとばして、少女をはねてしまう。その場から逃げ出し、民子は口止めされる。はねられた少女は、母のつとめ先のおじょうさんだった。苦しくて、ついに民子は真実を母に話す。十年間まじめにつとめていた母の信用で、許してもらえめでたしめでたし。

ありがちな話だが短編だしね、うまくまとまっている。この本の他作品はツメがもうひとつな感じだし。。



こだまつぎよし●ひよ子の学園日記 こんにちわ外人さん

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発行:1964年4月頃 若木書房 風車No.28より

八百屋の末っ子よりも、まんま「アイ・アム・デコ」の原型といえる作品。設定が中学生だし、ボーイフレンドの自転車の荷台が指定席というところなど、まさにそのまんまだ。あとは妹を足しゃいい。

ひよ子とケイ太は、外人のラセラに学園を見学させてあげる。遅刻した罰で廊下に立たされるのを、ラセラまでつき合う。ただし、この罰は軍国主義時代の先生の体験の再現となっていて、今の日本では罰はあたえないとされている。ラセラにおわかれのキッスをされたケイ太。ひよ子もまけずにキッスするが、毛虫にキッスされたようにゾクゾクされたので、ケイ太をきらいになってわかれる。ラストのナレーション「あしたになればひよ子のヒステリーはなおります」で幕。

「ひよ子の学園日記」シリーズとして、風車に何作か載ったのかな?



こだまつぎよし●小さな命

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発行:昭和35年6月22日 若木書房 こだまNo.6より

こだまにのったこだま先生の作品。この画風は、星城朗二先生とかオオトモヨシヤス先生とかの影響がありそうだ。今村洋子先生風になってからの方が好きだが、これもなかなかいい。

肺病のため、良一以外の村のだれとも遊んでもらえず、いじめられるミスズ。おばあちゃんは不憫に思い、山の向こうへ引越す。山小屋ぐらしとなり、いじめられないようにはなったが、ミスズはさびしい。汽車に乗っているお姉さんに手を振ってまぎらわす。

が、肺病が悪化し、たおれてしまう。少女の姿がみえなくなって、心配したお姉さんはミスズをたずねる。お姉さんは看護婦で、はやく病院へ運ばなければあぶない状態だとつげる。汽車をとめるしか方法はないとなり、良一が駅長へ電話して、ギリギリ間に合って汽車はとまる。やさしいお姉さんの看護でミスズの病気もいつか治ることでしょう、で幕。



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