京山アリサ

京山アリサ●母は命をかけて

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母は命をかけて_04

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発行:昭和35年10月1日 東京漫画出版社 バンビブック

巻末にバンビブック6 からのリストがのっているので、バンビブック初期の頃。おだしょうじから京山アリサに改名されてまだ間もない頃ではないかと思う。“京山アリサシリーズ” は、まだ始まっていない。絵柄はおだタッチが京山タッチに変る過程で、眼のクリッとした感じはこの時期の特徴になると思う。

美樹は本当の両親にあうために東京へ家出する。養父のかたみと持って出たカタログは、矢島貿易社長が外国商品のにせ物を作って輸出しようとした証拠品だった。社長は改心して回収しようとしていたのだが、たのまれた田村はボロ儲けをたくらんで、美樹を誘拐したり社長を脅迫したりする。ジャーナリスト吉岡に助けられ事件は解決。最後は養母が、実母へ美樹をあけわたし汽車で去ってゆく。生みの親より育ての親という結末でないのは、非常に珍しい。

176頁もある大長編なので登場人物も多い。表紙の絵にある木組みから美樹が落ちてしまうシーンは本編にもあるが、それを救ったのは養母でも実母でもない親切なバーのママだ。



京山アリサ●お母さん





発行:東京漫画出版社 定価150円 バンビブック

京山アリサシリーズがはじまる以前の作品。まだおだしょうじタッチのなごりも感じられる。

なおみは新しい母と仲良くやっていたが、おばさんは気にいらなかった。おばは、なおみを別荘に連れていきなかなか帰さない。父親の乗った旅客機不時着のニュースを知り、母は倒れる。おばの娘・万里がなおみを助けようとするが、車にはねられる。母の妹・玲子が輸血を申し出て、おばは改心。父も無事戻ってくるしらせがあり、めでたしめでたし。



京山アリサ●母はデザイナー

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発行:1962年5月頃 東京漫画出版社 京山アリサシリーズ9

この時代、デザイナーをあつかった作品は、やたらと盗作ものになっている気がする。この作品では、いずみの母は直代おばさんには、世話になったといっていたので、そうはならないと思ったが。開店三周年で白ゆり洋裁店を休むのはいいとして、そのるすばんを直代にまかせるのでは、盗んでくれといわんばかりじゃないか。。

まんまとデザインを盗んだ直代は、ファッションショウに入選。なにかを探っていた相川という女性は、いずみの父親のためにいずみと母を探していた。死んだと思われていた父は生きていた。結婚に反対だった実家が、ひきはなすためににうそをついていたのだった。

父は、デザイン画をみて妻ではないかと直代を訪れる。相川と直代の会話を、直代の妹かおるは聞いていた。盗作だと気づいたかおるは直代をさとし、いずみの父の泊っているホテルへむかう。タクシーが工事道路でタイヤが空回りし、立ち往生。「日本中の道路をほじくりかえしてやがるからなあ」と、当時の社会の風刺らしい。姉もクルマを押すのに協力し、ホテルからでてすぐの父と相川に会える。直代宅に向っていたいずみと母が、ちょうどそこへ来て、めでたしめでたし。直代が三点出品したうちの二点が、全国ファッションショウに出品されることがわかり、さらにめでたし。

根っからの悪でない直代の心の葛藤が大きなテーマで、後半は、ほとんど直代とかおるが活躍し、いずみの出番は少ない。。グイグイ読ませてくれるけど、もう少し楽しいシーンがほしかったところ。



おだしょうじ●悲しき忘れ貝

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発行:昭和33年8月20日 東京漫画出版社 おだしょうじシリーズ2 B6判 128頁

これは、国会図書館が膨大な予算をとって作成した電子図書を、オンラインで閲覧したもの。近代デジタルライブラリーでは、現在明治から昭和前期の一部書籍が閲覧できる。

著作権がからむので、大部分は国会図書館へ足を運ばなければ閲覧できない。足を運ぶには交通費がかかるのだから、どうせデジタルデータを液晶で見るのなら、その分を権利者に払ってオンラインで提供すればよいと思うのだが。(東京にいたころ何とか自転車で行ったこともあったが、職質の嵐だったぞ。てめえが怪しいからだと言われりゃそれまでだが。。)

eBookJapanあたりと提携すればうまく割安で読めるようになると思う。けど、日本で一番権威があり納本をさせている図書館が、料金をとって閲覧させるのも変か。。

さて、この本は小田昭次先生の著作。著作権はまだ切れてないはずなのに閲覧できたのは、「著作権者許諾」との結果のおかげだ。たぶんもう復刻版が発行される見込みもないだろうから、こころよく許諾してくれたのかも。それにしても、わずかでもオンライン閲覧料が動けば、著作者がこの作品を描いていたあかしともなるのになあ。

ま、せっかくの「著作権者許諾」の分を、ありがたく拝見させていただくこう。現在は昭和20年代くらいまでが公開されている。この本は、昭和33年なのだが、デジタルライブラリーでは、「昭和23」となっており、この間違いのおかげでありがたく拝見できた。。早く昭和30年代以降も公開されてほしい。そうすれば、小田作品だけでもかなり読める。

画像データを自分流に加工して、検討してみた。元はさすが400dpi、材質が十分わかる。けど、ほとんどの場合、材質よりも紙白上の線画を見るのが目的だろう。たくさん読む場合は、薄茶色の部分をこの程度まで、白っぽくなるようモニタを調整するのがよかろう。

この作品の絵はどうにも1950年代で、後の京山アリサとか田代淳時代の華麗さはみられない。眼には感情が乏しいし、口は平行四辺形、髪の毛の光沢もぎこちない。

話は貧しい花屋の娘、葉子が実は有名な貿易商の娘で、最後は育ての母とともに貿易商の家でくらせるようになる、というありがちなもの。

今だと楽しいシーンでしか使われない音符マークが、しんみりしたシーンで使われているのが印象にのこる。

【追記】
国会図書館で検索するとデジタル化された、おだ作品はこの1冊? スキャンされてない、いや、できているけど整理がまだなだけかも。別の図書館へ本を貸し出すサービスもやっている、いつごろからかな、知らなかった。。ゆくゆくは雑誌等なら、もよりの図書館へ出向けば、そこの液晶モニタで閲覧できるようになるのでは、、いや雑誌はむしろ難しいのかな。。



京山アリサ●歌え下町娘

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発行:東京漫画出版社 定価170円 京山アリサシリーズ12

京山アリサシリーズは何巻まで続いたのかわからないが、この12巻目は最後の方ではなかろうか。京山アリサ名義での作品も終わり頃で、田代淳名義になる直前くらいと思える絵だ。

姪のめぐみちゃんの家がかたい雰囲気なので、下町娘の美代が空気をいれかえようと奮闘する話。軽い嫁姑もの、深刻でなく明るく楽しくまとまっている。

歌うシーンは「スイスイスーラララッタ」というのが一度きり。なら、タイトルは「踊れ下町娘」か「かつげ下町娘」のほうが話しに沿っていると思う。



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