池川伸治

池川千鶴●ひとりっ子

ひとりっ子_01

ひとりっ子_02

ひとりっ子_03

ひとりっ子_04

ひとりっ子_05

発行:東邦漫画出版社 定価150円 しらかばブックNo.13

怪奇ジャンルで独特の世界観を展開して人気を得る池川先生だが、この作品はまだ一般少女もの。頭でっかちで足先が小さい絵は後の作品もそうなのだけど、まだ線に勢いがない。大きくくっきりな二重まぶたに憂いを含んだ表情、笑顔の少ない暗い雰囲気が最初から最後まで続く。

別荘にきた正子は、使用人の良男と会いたいが身分がちがうので許されない。父母が東京へ帰ったすきに良男の部屋へいき、海辺やほら穴へもいけたが、女中と家庭教師から会わぬよう
何度もきつく注意される。良男は別荘を出ることを考える。正子が良男の部屋にいる時、父母が一日はやく帰ってきた。父は良男をなぐる。良男と育ての親のばあやは別荘を出て行くのだった、で幕。

175頁もある長編だ。舞台はほとんど別荘、あとは周辺の海辺とほら穴が少し。雨も効果的に使われあきさせない。それにしてもなかなか自由に会えない正子と良男がじっくりじっくり描かれる。舞台が変わり話がどんどん進むのより、これはこれで深い印象が残っていいかもしれない。



池川伸治●白い夢の中の世界

3303aad1.jpg

05125400.jpg

c7382b51.jpg

9e5ae1be.jpg

発行:1967年4月頃 文華書房 『月夜』第10集 新装1号より

もったいないことに、池川伸治先生は苦手でさけていた。子どものころから、戦争・怪奇ものは怖くてダメなのだけど、池川先生のはその理由ではなかった。登場キャラの中にいる、イガグリ頭で白いジッパー学生服の意地悪そうな脇役、これが苦手だった。顔はそうでもないが、性格的に似たいじめっ子が近所にいたからだと思う。。

さて、この作品にはそのキャラは登場しない。続き物の3回目。ボーイフレンドの勝三を美知子にとられた博子。勝三を自分のものにするため、不思議な力をもつ山本にたのんで、死後の世界の勝三を地獄に落とし、現世では病気にすることに成功した。夢の中の世界で、病気をなおせるのは博子と知り勝三は博子と仲良くなって、めでたしめでたし。。でも、次回ではまた美知子とくっつくらしい、、気になるなあ。

読み込むと、思ったより明るい絵で線の伸びもいい。独特の世界観、エキセントリックなキャラもまた魅力的。今だに人気の高い作家であるはずだと納得。



カテゴリ
月別アーカイブ