朝丘マキ

朝丘マキ●母さんの香り






発行:1962年1月頃 東京漫画出版社 バンビブック

ちょっとした出来事が淡々と描かれていって、そのうち母にかかわる事件が起こる展開かと思って読み進むと、実は全部のエピソードはちゃんと関連していたというお見事な構成。関連などなくても十分と思って、考えず読んでいたからだろうけど。

主人公のよしえは、パパ似の丸くて小さな体という設定だが、最初の方は足が長くそうは感じられなかった。でも、丘野ルミ先生や京さゆり先生が描くあからさまなおデブちゃんより、このくらいが好ましいナ。

よしえは親切なおばさんに洋服のアップリケをなおしてもらっていた。金曜日の夕方に仕上げをしてもらう約束をした。
買ったばかりのハトを逃がしてしまう。はと売りの少年をみつけると、そこによく似たハトが。当然何度も同じハトをうる悪どい商法だと思ったが、必ずしもそうではなかった。

ハトうりの少年・としおと同じクラスに転入したよしえ。かめのせなかのアップリケをつけてもらおうとおばさんの家へいくと、としおがいた。おばさんはとしおの母親だったのだ。クイズにあたり二等の自転車がもらえるとの速達がとしおに届く。だが、おばさんはよろこばなかった。

としおと母はまずしくて、役所から金をもらってくらしていた。だからよぶんなものをもっていると役人にしかられるのだ。そのためハトをうりにだしていたし、せっかくの自転車もうらねばならない。

よしえは巡査のパパにその自転車をかって、としおにかそうと提案する。パパはそんなにお人よしでも金持ちでもないと断る。よしえが警察に届けたゆびわの持ち主、ダルスおばあさんが自転車をかって、としおにかすことになり、めでたしめでたし。

としおの母のことを「わたしのママになってくださったらすばらしいとおもうわ」というセリフがラストにあり、やっとタイトルの香りが。。



朝丘マキ●おとうと





発行:1961年頃 東京漫画出版社 バンビブック

160頁もある本だけど、「おとうと」はp122で終わり、その後に「ああ灯が」という盲目少女ものが入っている。全ページ「おとうと」でいってほしかったな。ラストがちょっと急ぎすぎな幕切れと思うし。絵はていねいで、A5判を生かしたアップもあり満足!

江利子の弟・功二は、実は母のいとこ・千也の子だった。ファッションモデルの千也、今度は娘の勝枝をしばらくあずける。帰るとき功二もつれていくといわれもめる。ぬすみぎきをしていた功二は長野のおじさんのところへ。江利子、勝枝ら母娘が後を追う。江利子の母が危険を冒し、雪山の崖へ功二を救いに行ったのをみて、千也は母としてまちがっていたと改心。功二をたくして去っていった。で幕。



朝丘マキ●まぶたの母

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発行:東京漫画出版社 定価150円で1959〜1961年頃

巻末広告にバンビブックの通し番号がのっている。この作品は63巻目、表紙や奥付ではわからない情報だ。64以降では通し番号など無くなってくるはず。でも、28巻前後の本で1〜27は知ることができそう。

ここに記されているタイトルを見ると、だいたいが母子もの・悲哀ものであろうと推測できる。好きではないジャンルだが、読んでみるとそれなりにひきこまれるもので、この作品もそうであった。

ていねいな絵で背景がきっちり描きこまれ、クルマのデッサンもしっかりしている。が、靴の描写は単調。洋服はがんばって描きわけられているが、朝丘先生は男なのではなかろうか。

小学校に転入したシノ子は、お金持ちの関口さんと対立。関口から差しむけられた男の子をやっつける。シノ子はスラム街出身で、母親が殺人容疑でつかまり、施設をぬけだしたところを、今の母に拾われたのだった。昔の仲間ときおが現れるが、不良というほどのことはしていなかったようだ。だが、その兄貴分は悪者でシノ子の母に罪をなすりつけたのだった。ときおがつかまり、のりこんだシノ子もつかまる。あとをつけていた義母らの通報により解決し、シノ子は実の母のもとへ。

少女ものらしい対立シーンから始まり、家庭のごたごたなど説明され、最後はアクション風。174ページもあり、かなり読みごたえがあった。




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