発行:昭和32年9月25日 きんらん社 なかよしまんが物語 B6判 128頁

けちんぼがテーマになっているなかなか面白い作品だ。絵は1950年代の丸っこいものだが、線に伸びが感じられていい。

きん子の兄・万吉は貧乏で死んでしまった父の遺言を守り、けちんぼうに徹する。短くなるまで使った鉛筆の芯がおれたら、もとのあなへいれてさらに使う。きん子をしかろうと手をあげたが、けがでもしたら医者代がもったいない。あげた手はさげるのがもったいないので、その手を使う仕事があるまでおろさない。この時は客が店にきて棚のかつおぶしをとる用事ができるまでおろさなかった。

きん子にとって一番つらいのは、ごはんをいっぱい食べさせてくれないことだ。運動会、得意な百メートル走は二等だった。一等だと鉛筆三本もらえるのにと万吉はきん子をしかる。私はごはんをいっぱいたべてもビリだったのに、と友人は万吉に文句をいってくれる。習字では、きん子だけが新聞紙に書いており、それでもじょうずだとほめられるので、もっといい紙に書かせてあげろと。万吉はすまなく思うが、意志はかえない。

おふろはドラムカンを三つならべて太陽熱で温まった上の方の水をあつめる方式にした。きん子に名案だとほめられ、一瞬笑顔になった万吉だが、すぐ金持ちになれるというしかめっつらに。しかし、きん子に自分の分のぼたもちを
こっそりわけてやるやさしさはあった。

だいこん三本を日野川のむこうまでとどけるのはそんだという万吉。きん子がわたしがいくというと、万吉はおれがいくと。結局二人でとどけることに(二人でいくのは非常にそんだと思うのだが…)。近道をするために日野川を歩いて渡り急流におそわれる。万吉はながされただいこんをつかまえにいったため、きん子はおぼれる。医者からさとされて万吉はけちんぼをやめることにして、めでたしめでたし。

けちに徹する万吉なのに、きん子をほうってだいこんを守るとは、、すぐにそんだと気づかなければネェ。。まあけちな私も自転車でこけたとき、弁当を守って前歯を折った経験があるけど。。